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魔法少女リリカルなのは ―全てを変えることができるなら―
第五話
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の後を追うことにした。


*****


 ――――ティアナがどういう人生を送ってきたか、朝我は知っている。

 両親は彼女が幼い頃に事故死。

 以降は武装隊の空士だった兄/ティーダ・ランスターに育てられてきたが、彼もまた職務中に命を落とした。

 天涯孤独の身となったティアナに追い打ちをかけるように、ティーダの死が一部問題となった。

 任務中、犯人を取り逃がした上に死亡した。

 それは優秀であったティーダの死としてはあまりにも残念な死だった。

 上司の心無い発言をきっかけにティアナは、自分の兄が優秀であったことを証明するために管理局に入った。

 そして兄が目指していた執務官を目指すために、努力を重ねてここまで来た――――。

「ティアナ、ちょっと良いか?」

「……どうしたの?」

 彼女に追いついた朝我は呼吸を落ち着かせ、無理のない程度に笑みを作った。

「どうしたの、はこっちのセリフだ。
どうしたんだ、いつものティアナらしくないぞ?」

 質問に質問で返すと、思い当たる節があるのかティアナは不機嫌そうにして目をそらした。

「い、いつも通りよ。
アンタに心配されるようなことは一つも――――」

「――――なら、さっきどうしてキャロをあんな目で見つめた?」

 言葉を遮るようにして問うと、ティアナは言葉を失い、目を見開て朝我を見つめた。

 どうして気づいた? と言わんばかりに見つめてくるため、朝我は笑みを絶やさずに続けた。

「訓練校からの付き合いだぞ?
それくらい見てれば分かるさ。
……ま、スバルは“そういうの”鈍いから、様子の違いは気づいても、それが何かは分からなかったと思うけどな」

「……アンタは、分かるって言うの?」

 真剣な表情で見つめてくるティアナに対し、朝我は笑みを崩して同じく真剣な表情でハッキリと頷いた。

「分かってる上で言わせてもらうと――――『他人は他人、自分は自分』ってことかな」

「……」

 本当に分かっていた。

 ティアナの驚いた表情が、そう語っていた。

 そして、それ故に彼の言葉はティアナの中に溶け込み、染み込んでいった。

 だが朝我は、自分の言葉がどこまで彼女に届いたかを計り知ることができなかった。

 言えたことはただ、自分の言葉ではなくて一巡目の高町 なのはの言葉だった。

「……ホント、アンタってたまに鋭い所があるわよね」

 自嘲気味な笑みをこぼしながら、ティアナはそう言った。

「まさか私の悩みをズバッと的中させるなんてね。
人の心を読む魔法でも覚えてるの?」

「ティアナがわかりやすいだけじゃないか?」

「そ、そんなこと…………な、ないわよ
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