暁 〜小説投稿サイト〜
Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第4章 “妹達”
1.August・Night:『Memory...Denied』
[4/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
る感覚がこびりつく、血液の巡りが滞る。その二つを、踏み越えて─────


「ッ────ッ!」


 展開した第一防呪印“竜頭の印(ドラゴンヘッド=サイン)”がそれを弾き、相殺する。砕け散る、竜の頭を象る魔法陣。それは即ち、究極の虚空に住まう神への祝詞の始まり。
 視界がボヤける。演算が纏まらない。愈々(いよいよ)、危険域か。


「足掻きやがってェ!」
『三枚だ、宿主よ。あれは神に捧げる生け贄の呪詛……“門にして鍵、一にして全(ヨグ=ソトース)”と交信する為のモノだ。後三枚、砕く前にカタを着けよ!』
「うるせェっつってンだろうが、こっちは最初(ハナ)っから……次で終いにするつもりだァ!」


 二撃目の凍槍によって、第二防呪印“キシュの印”が割砕する。後は無敵の第三防呪印“ヴーアの印”と、最終防呪印“竜尾の印(ドラゴンテール=サイン)”の二つ。


「クソが、出し惜しみしてンじゃねェ────もっとだ、もっと搾り取れ! 液体だなんて生易しいもンじゃねェ、固体をブチかます!」
『心得た────クク、ではいただくぞ!』


 魔書が、その鉄の装丁が妖しく艶めく。命を吸い、魔力を産み出しながら蠢いている。醜い、浅ましい。あんな汚穢を、好んで使う気が知れない。


立 ち 消 え よ(H N I)立 ち 消 え よ(H N I)立 ち 消 え よ(H N I)!』


 先程までの比ではない、魔力の昂りを携える彼女。対し、最早まともに残り二枚を展開できるかすらも怪しい自分。
 白い光、見るだけでも凍えそうな程に寒寒しい、極北の風だ。それが一陣、圧縮された槍となって心臓を狙い────


「“零下の(イイー)─────?!」


 撃ち出されるよりも早く、彼女に向けて様々な『顔』が描かれている携帯型対戦車ミサイルが撃ち込まれ────それを、右手の槍で迎え撃った彼女。その懐に、同じくらいの背丈の影が躍り掛かる。
 掌底からの蹴り、反転しながらの後ろ回し蹴り。高圧の『窒素』を『装甲』として纏う体術は、見た目からでは想像も出来ない破壊力だ。


 だから、黒髪の少女はそれを()()()()()。受け止めて白いフードの下の眼光を更に鋭く、全く同じように橙色(オレンジ)のフードの下の眼光を更に鋭くした最愛と睨み合いながら、邪悪に笑う。


「────超見覚えがある能力だと思ってみりゃあテメェですか、黒夜 海鳥(くろよる うみどり)
「ヘェ────確かに見覚えがあると思えば……優等生の絹旗ちゃンじゃねェかよ?」


 互いに、仇敵に再会したかのように。壮絶な敵意をぶつけ合って。


「ちょっと嚆矢、結局アンタ、顔が土気色なん
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ