第二章 終わらせし者と月の女神
第八話
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場で鍛えてはいない」
山賊の長は、ソールに飛びかかる。自分にしか相手が務まらないと考えたのだ。
その間に残った部下を、ロキの元に送った。
「ちっ、山賊風情にしては中々できる。ロキそっちは大丈夫か」
一合二合と手合いを重ねるが、そこは山賊の長たる結えんか勝負が決まらない。
「ええ、大丈夫です。こっちは終わりました」
正に秒殺だったのだろう。長がソールと打ち合い時間もそう経ってはいないが、気づけばロキは自分を殺しに来た賊を既に殺していた。
血まみれの地面に、一人立ち微笑みを浮かべるロキ。なんとも不気味な姿だとソールは感じた。
しかし、そこからは早かった。天才的な剣術の才能を持つソールは長の右腕を切り落とし、首を跳ねた。
「なんとかなりましたね」
「相手が弱かったな。丁度旅の始まりの相手としては、上出来か」
「そうはいっても、油断大敵です。今回は戦える数だったからよかっただけです」
「それはあるが……。にしても、子供の癖に中々強いな」
「伊達に貴族はやってない。ただそれだけのことです」
「俺の知る貴族とは、気色が少し違うようだ」
少しだけ顔を歪めるソールに、興味を抱いたロキは思いきって訪ねる
「ソールさんの出身はどちらに?」
「そこらへんの話しは追々していこう。今日は少し疲れたろう。早く寝ることだ」
「そうですね。では、警戒をお願いします」
「ああ、なにかあったら起こす。それに俺の事はいずれ話すさ。時間ならたっぷりとあるからな」
ロキは血に汚れた服を着替え持ってきていた水を温めて、布をそれにつけ全身を吹き上げるとテントに入りそそくさと眠りについた。
「三カ月か……時間はある」
その独り言を、ソールが聞くことはなかった。
ところかわりセレーネの一行もまた苦難に見舞われていた。セレーネの友人である貴族の少女は本当に彼女に腕の立つ護衛を数人つけていた。
ハイライン城から出発し、アンフォニー城、シルベール城と経由しマディノ城。それから最終目的地であるブラギの塔へというルートで進み始めた。そのコースはロキ達とは正反対のコースであり、ロキ達の取る道のりよりも長く時間がかかるものだった。
ロキ達よりも早く出発し、予定では既にシルベール城へとたどり着いているはずだったのだが、とういう訳か未だにアンフォニー城に滞在しているのだった。
「アベルさん、ソワレさん、フレデリクさん。本当にごめんなさい」
セレーネは、ベットに寝そべっている。顔は赤く、その額からは玉のような汗が流れる。最初はただの風邪かと思われたがそうでもないらしい。
ライブの杖、その上のリライブの杖で
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