第18話 魁、現状を語る
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『オレ、最後に少しは…役に…立ったかな…?』
かつてオレが…新選組 八番組組長としての最期の記憶は、仙台城で土方さんと別れの記憶だった。史実のオレの最期は“油小路の変”になってるが俺はその時、生きる為に羅刹という化け物になる事で生き延びた。そして“鳥羽伏見”、“宇都宮”…そして“仙台”と渡って戦って来たけど、超人的な再生と戦闘力を代償にどんどん自分の命が縮んでいく恐怖は別に無かった。誰が言ってたな…
“新選組は時代の徒花”
確かにそうかもしれなかった。新選組は名を上げるだけじゃなく、惚れた大将について行く。その為なら、いつ命を散らしてもオレは惜しくなかった。
ああでも……
やっぱりオレは死にたくなかったかもな…
千鶴……
『平助君!』
『土方さんを…しっかり……見張っててくれよな。生き急がないように…』
『うん…うん……!』
千鶴…お前にとってオレはただの友達だったかもしれないけど、オレにとってお前は綺麗でかわいい…惚れた女だったんだぜ?オレだけじゃない。多分 左乃さんや総司に一君もお前に惚れてたぜ?でもお前の心は土方さんに向いていた事はとっくにわかってた。土方さんはオレにとって憧れの漢だったけど、同時に憎い恋敵だったよ。だけど、父親の綱道さんを失った千鶴の…心の支えになるのは土方さんだけだった。
だからオレは…喋る力がもう無いオレは目で土方さんに言葉じゃなく睨む形で思いを届けた
−−−千鶴を泣かせるなよ?−−−
たった一言を思いとして目に込めてオレの思いは土方さんに届いたのか分からないけど、一瞬だけあの人は目を見開いて次の瞬間ニヤリと笑いながらオレにある思いを込めて睨み返した
−−−当たり前だ−−−
この返事を見た瞬間、悟っちまった
−−−ああ、やっぱりこの人にはかなわねぇ−−−
そして最期の…本当の意味の最期の時が来たオレは最後の力を振り絞って泣き顔の千鶴にオレの最期の願いを頼んだ
『そんな顔するなよ…いつもみたいに…笑ってくれ……』
『……うん!』
少しぎこちないけど、それでも千鶴の…オレが惚れた女の笑顔を見れて、俺にとっては幸せだった。だからオレも、千鶴に笑顔を向けることが出来た
『そうそう……それで…いい………』
その言葉を最後にこのオレ…新選組 八番組組長…“藤堂 平助”は死んだ。
そう…
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