16戦いの後なの
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フェニックスの涙を作るにはかなりの時間がかかってしまう。
「また、来るよ」
俺は病室を後にし病院を後にした
◇フェイト
「なのは?」
「フェイトちゃん…」
何をするでもなく夜空を眺めていたなのはに背中から声をかける。それで初めて気付いたように、なのはは力なく振り返った。
「どうしたの、こんな所で。ヴィヴィオの事…考えてた?」
ヴィヴィオの名前を聞いて明らかに表情を歪めたなのはは、顔を背けて再び夜空を見上げた。
「フェイトちゃんも聞いてたよね…『私は空の人間』だって言った事。」
自嘲気味ななのはの呟き。
空を見上げながらそんな事を言われたらさすがに不安になる。
「なのは、それは…」
「心配しないで、むしろ逆だから。」
どういう意味かと問いただそうとした所で、なのはに制される。
「また墜ちるかも知れない…現実何が起こるかわからないから母親と慕ってくれるヴィヴィオを傷つけたくなくて、ずっと引き取るのを渋ってたんだから…そんな私が、ヴィヴィオが攫われた事にどうこう思うなんておかしいんだよね。かもしれない悲劇の一つが起こっただけなんだから。」
「なのは…」
淡々となのはがそこまで話してくれて漸く、何でああも悲しそうにあの言葉を言ったのか分かった。
私は空を見上げるなのはを後ろからそっと抱きしめる。
エースと祭り上げられるにはあまりに不釣合いな小さな肩から、震えが伝わって来た。
「理屈ではそうだって分かってるのに…全然ダメなの。ヴィヴィオが今頃寂しい、苦しい思いをしてるんじゃないかって考えただけでどうにかなりそうなほど苦しいの。自分の怪我ならあれだけ残酷な理屈を平然と言えたくせに…」
私の腕を引き剥がすようにして振り返ったなのはは、私の両肩を掴んで俯く。
「私…今更こんな事…ごめんフェイトちゃん、ヴィータちゃん、皆…」
「大丈夫、大丈夫だよ…」
縋り付いて泣いているなのはをもう一度抱きしめる。
続く
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