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【D×D】いけない!掃除男は君の身体に罠を!
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能力ゼロ。清々しいほどにゼロである。この神やら悪魔やらが散々絡む世界に足を突っ込んでおいて出来る仕事がある訳でもないのに、何故かこちらの干渉には気付く。そして物見遊山でやってきておいて、言う事がいちいち問題の的を射ているから悪魔側も無視できないでいるというのが現状らしい。

例えば匙という新人悪魔の持つ神器の「黒い龍脈(アブソープションライン)」について掃詰は全く知識がなかったし五大龍も知らなかったが、吸収(アブソープション)という名前からいち早く「何かを吸収できる」という機能に気付いていたようだ。神器を持っている匙本人も気づいていなかったのに、その能力には相手に力を与えるなどの応用は効かないのかと質問していたそうだ。
また、実はコカビエルが魔術的な罠を町に仕掛けているのを普通に発見していたらしい。というのも、元々町を調べ回るのは好きだったらしく町内で起きた小さな変化をまとめるうちに「あれ?異変のポイントを点で結ぶと魔法陣そっくり?」と思ったとか。
おかげでコカビエルの事件は初動が早く、またコカビエルの地味な精神攻撃を潜り抜けさせるという所業を本人の居ない所でやってのけている。お前は名探偵か何かか。

そしてそんなこんなで事件に口を出しまくっている癖に、実はただの人間。つまり中立存在だったりする。

はっきり言おう。このままだとこいつ死ぬわ。

悪魔と関わってるのに警戒ゼロな時点で既にテロリストや敵対組織に始末される可能性がある。こう言う奴は普通何かの庇護下にいないといけないのだ。でなければ身を引くかこちら側の力で引かせるか、或いは記憶を消すことで相手にこの男を殺すメリットを消すべきだ。

なのに記憶を消すと消されたことに気付いて調べ出す。外に飛ばされても恐らくは知的好奇心に負けてこの界隈を調べ出すだろう。そして死ぬ。死んだらおそらくリアス・グレモリーは殺した相手を許さないだろう。

(友達だから……か)

こいつを見捨てればそれで済む。
だが、あの甘ちゃんお姫様は何が何でもそれをしたくないだろう。
アザゼルも人間は好きだ。現実的な厄介さを除けば掃詰のような奴も見ていて面白い。天使も悪魔も見境なく接し、力の差も寿命の差も気にしない。そんな清々しいほどに純粋な人間は、きっと世界中探してもそうそういるものではない。

「なるほど、こりゃ厄介だわ。視界に入ったら目で追わずにはいられず、口を開いたら耳を傾けずにはいられない……そういうエンターテイナーの才能だ、あれは」

ごく自然に、あいつには死んでほしくないと思わせるだけの距離感にいる。
ある種の人徳というか、魅力。また何かをやらかすのではないかという奇妙な期待。

しかしどう助けたものか……それが問題だ。



「――っつう訳なんだがお前らどう思う?」

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