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魔法少女リリカルなのは 絆を奪いし神とその神に選ばれた少年
第九話 記憶が戻る条件
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アリサすずか。何で神楽院の事を名前で?」
「何でもいいでしょ。気分の問題よ」
「うん、名前で呼んでもいいからって言ってくれたから」
おい待て。そんな事は言ってない、と言おうとするとアリサ達は目で全に訴えかける。
呼んでもいいよね?と。
事後承諾かよ…と全は肩を落とす。まあ、名前呼びになっても以前と変わらないので別段否定する気はないのだが。
全は特に気にしたような素振りもみせないで読書を再開する。
「アリサ、すずか。あんな奴、名前で呼んでも意味はないぞ。というか、調子にのるかもしれないんだぞ」
読書を続ける中、全の耳に高宮のそんな言葉が入り込んでくる。
別段、調子にのる気もない。しかし、そんな言われ方は心外なのだ。
「おい、高宮」
全は読書を中止。読んでいたページにしおりを挟み、立ち上がる。
「な、何だよ。神楽院、何か言いたい事でも」
「ああ、大いにあるな。まず、俺がアリサ達に名前で呼ばれて調子に乗る、だったか。人の事を勝手に評価するのは止めてもらいたい」
「お前の今までの言動から見ればそう考えるのは自然なんだよ」
「だとしてもだ。俺の人格を勝手にお前が決めるな。俺は俺だ。他の誰でもない、俺なんだ。だから……そうやって俺の事をやたらと吹聴するような真似は止めろ」
「「っ!?」」
全は高宮が驚き、唾を飲み込む音を聞いた。しかし、全はそれ以上に……もう一つの音が気になっていた。
音の出所を見てみると……そこにはるいが立っていた。
(おかしいな。るいに向けて言った言葉ではなかったんだが……)
全は怪訝に思いながらも席に座り、先生がやってくるまでの読書を再開した。その間中、ずっと高宮は何か難癖言っていたが全部無視していた。
るいSIDE
私は……今、橘が言った言葉が信じられなかった。
もちろん偶然だろう。それでも……私が聞いた事のある言葉と殆ど一緒だったのだ。
『お前たちが勝手に○○の事を知ったような事を言うな。○○は○○だ。他の誰でもない、○○なんだ。だから……そうやって○○の事を悪く吹聴するのは止めろ』
それを言ってくれたのが誰か……顔も名前も
思
(
・
)
い
(
・
)
出
(
・
)
せ
(
・
)
な
(
・
)
い
(
・
)
。前世で言われたと思う。けれど……それでも、その言葉だけは嬉しかった。
前世の私は虐められており、その主犯は女子。その為か、陰湿な物が多かった。
その言葉をかけてくれた男子は……私にとって大事な人だった筈。でも、思い出せない。
なぜなの……と思いながらも、先生がそろそろ来る時間だったので思考を中断して、自身の席に座った。
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