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魔法少女リリカルなのは 絆を奪いし神とその神に選ばれた少年
第九話 記憶が戻る条件
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目の前の神が言う事は全部当たっていた。まあ、途中の決意をするという所に関しては少し疑問を持っているが。

しかし、それにしてもおかしい。記憶を奪ってそのままにしておけばその記憶から力を吸収する事が出来る筈なのだ。

記憶にも新鮮な物などがあるのかもとも思ったが、それでも記憶を返還するシステムなど組んでも神にとっては関係ない筈なのだ。

「そうさなぁ……これもまた、運命の神たる由縁なのだろうが。私はな……見てみたいのだよ。記憶を失いそれでも、と抗うお前のそんな運命と……記憶を取り戻したいという人の決意の光という物を」

神はそう言って扇子をパチン、と閉じる。

「そして見せてもらった。アリサ・バニングスと月村すずかの決意の光と……お前の中にある抗う運命を。これからも……そんな気持ちを忘れないでほしいな」

「神……」

「私には真名がある。せっかくだ、名乗っておこう。我が名は真耶(まや)。よく覚えておけ」

「真耶……」

「そろそろ、帰る時間だ」

そう言われると、全の意識は次第に薄くなっていき……全は意識を手放した。










「ん……朝、か……」

全は何か、爽快な気分で起きた。

というのも、アリサとすずかの記憶が戻った事による嬉しさもあったのだろう。

「という事は……他の皆も……?」

と、そこまで考えて全は他の皆……残る五人の少女の事を思い浮かべる。

「期待、して……いいのか……いい、のか……!」

全は泣いた。朝だというのに、それでも泣いた。

それは悲しみの涙などではなく……記憶を取り戻してくれるかもしれないという、喜びの涙だった。




泣いてばかりもいられないので全は朝食を済ませて学校へと行く身支度をする。

その際にシンを首にかけるのを忘れない。

『マイスター、良かったですね。アリサさん達の記憶が戻られて』

「ああ。ホント、戻らないと思ってたから。年甲斐もなく泣いたけどな」

『泣くのは当然です。嬉しければ泣くのは当然なのです』

何とも人間のような事を言うデバイスだな、と全は思った。

そんなこんなで学校についた全。

自身の教室に向かい、自身の机に座り本を読む。

ここまでは、いつも通りだったのだが……

「おはよう、()

「おはよう()()

全よりも早く到着していたアリサとすずかが全に挨拶をする。

ここまでも昨日と変わらなかった。

「お、おい、今……」「あ、ああ……バニングスさん達」「ああ、間違いねぇ」

「「「「「橘の事を名前で呼んだ!」」」」」

クラスの全員の思っている事が一つとなった瞬間であった。

「あ、
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