十三話
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のも無理は無い。それは教師陣、勿論新田先生も理解している。少しぐらいは眼を瞑る、と言うのが教師達の暗黙の了解だ。
だが、麻帆良……ひいては3-Aの元気さが裏目に出た。いくら眼を瞑るとはいっても少し、だ。度を過ぎれば注意しなければならないし、ああも分かりやすく納得いかないと顔に出されては釘を刺しておくしかない。結局のところ、彼女達は自ら自分達の首を絞めてしまったのだ。
「やれやれ、全く3-Aの生徒達は……」
「ありがとうございました。私ではどうにも力が足りず」
「いえ、あの子達を御せる者などそういませんよ。ましてや、まだ若いネギ先生には荷が重いでしょう」
自販機で買ったお茶を口にしながら雑談に興じる。近衛の護衛は同じ部屋の刹那が担当するほかないため、彼女に一応は任せている。
「それでは、私は念のためもう一度生徒たちの部屋を周りに行きます」
「そうですか」
失礼、と軽く礼をして立ち去るネギを新田先生は静かに見送った。
(今はまだ若いが、将来が楽しみだ)
その小さな背中に、彼が大きな期待をよせていることはまだ誰も知らない。
「それで……朝倉がいないと」
「は、はい」
ネギが部屋を見回り初めて三つめ、第三班の班長である雪広はネギの前で縮こまっていた。その原因は、朝倉和美。第三班のメンバーである彼女が、部屋にいないというのだ。
「新田先生に怒られたばかりだと言うのに、困ったものだ」
「すみません。班長の私がしっかりしていれば……」
別に、ネギは雪広にそこまで怒っているわけではない。だが、ますます縮こまってしまった彼女にどうしたものかと考えてしまう。女性の扱いに慣れていない、というわけではないが今のネギは教師で相手は生徒だ。さすがにこのシチュエーションはネギには経験がない。
「そういえば、新田先生が怒られた時にはもう姿が見えなかったわね。そうよね、夏美ちゃん」
「え? そ、そういえばホテルに戻ってきてから全然見てないかも」
さすがに夕食の時はいたけど、と付け足されたその言葉にネギは大きくため息をついた。
(嫌な予感しかしないな……)
自分の幸運値が低い事を自覚しているネギはこの先起こるだろう何かの事を考えると、段々と気分が沈んでいった。
「とりあえず、朝倉が戻ってきたら捕まえておくように」
それだけ言い残して、ネギは次の班の部屋へと向かった。
「ネギ先生、何だか顔色がすぐれないようでしたが大丈夫でしょうか」
(そりゃこんなクラスの相手してりゃ胃の一つでも痛くなるだろうよ)
そう思いながらも長谷川は決して口にしない。だが、自分ももしかしたらああなってしまうのだろうか、と一人身を震わせたが。
「いやー、
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