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美術部所属の天才は一人部屋の奥
目が覚めると
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うよ?早く先生の授業受けたいですし。あー!!皆!!教室に戻ったほうがいいよ?!もう先生来てるかも?!」

この変なやつの声かけで見物人は、あっという間にいなくなった。俺のいる教室には、生徒が全員座っており、とてもじゃないけど説教しずらい雰囲気に。センコーは、諦めたらしく「次何かやらかしたらただじゃおかないぞ!!」と教室を出ていった。『あいつ』とともに。…なんなんだ?『あいつ』は。

「…いいかんじかも。シナリオどおり。」

なんとなく気が狂う。…なんかよく考えてみると嫌な予感っていうか何て言うか、のせられている気がしてならない。だっていくら馬鹿でもあそこまで馬鹿だとは、考えづらい。(あいつの場合)わざと出てセンコーを連れていって何をするつもりだったんだ?あいつは、何を始めるつもりなんだ?全然わからねぇ。これは、あくまでも俺の今までの経験からの考えだけど。予感が的中しないといいが…。あいつは、要注意だ。




「…部活。」

最近放課後は、ほとんど学園長とセンコーの説教でしめている。絵描いてない。今日行こうか迷う。でも今なら描けるか?あの『不完全な理想図』を。俺の求めた理想図は、探しても探しても見つからない。だから俺は、描き続けた。俺の求めた絵が描けたとき、俺の中でなにかが変わるとそう思ったから。でも描けるはずがない。今の俺じゃ。足りないものが多すぎて。まず何が足りないのかすらわからない。他のやつらには、青く、綺麗に見える空も、俺には、黒や灰色にしか見えない。違う、違う。そんなの違う。空は、青に決まっている。だから青じゃないといけない!!

「…色彩。」

もう、やめよう。無理だ。俺の筆がそう言った気がした。俺は、それにこたえるかのようにその場から離れた。

「もういいのかい?久しぶりに来たのに。」

「もう『無理』なんです。」

明るかった空に厚い雲がかかって暗くなった。まるで俺の中みたいに。




目が覚めた。また同じ朝がきた。これを繰り返す意味は、なんなのかと考える。考えても見つからなかったから気持ちを絵で表した。なんだこれ。ああ、まだちゃんと目が覚めてないのかもしれない。と急いで顔を洗った。

「覚めてるっつーの。」

今思ったけど今日休みじゃん。なんで起きたんだろう。そこを通り越してなぜ俺は、今日に限って早く起きた?と考えた。そしたらたくま先輩の声が頭の中でよぎった。「休みの日ってゆっくりしたいのに早く起きる。それは、ゆっくりするためかもしれない。だから俺は、外に出てゆっくりと絵を描くんだ。」って。…絵を描けってこと?窓をバッと開けて風をいれた。あったかいような涼しいような。俺の好きな風だな。ノック音がして声が聞こえた。…いつものあの声。

「色彩〜起きてる?」
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