暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王デュエルモンスターズ 〜風神竜の輝き〜
第3章 新たなる好敵手
第16話 決意する2人
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けてくれた女子生徒達はしきりに亜璃沙の様子を気にしていたが、そんな彼女達にも謝辞を述べて、亜璃沙はいつも通りの彼女に戻ったのだった。

「あっ、おい!それ俺が食おうとしてたんだぞ!」
「いいじゃねーか、俺だってこれ好きなんだよ!」
「優勝したのは俺だぞ!」
「菓子くらいで細かい事言うなよ!」
「2人とも、喧嘩するならこれは私がもらっておくわ」

1本のチョコバーを巡って火蓋が切られた小競り合いに介入したのは、亜璃沙だった。
男子生徒の手に握られるチョコバーを瞬く間に抜き取り、2人の目の前で封を切ってかじり付く。
そんな彼女の様子を、遊雅ともう1人の男子生徒は呆然と見つめていた。

「お前、さっきいらないって……」
「神原!お前横から……この泥棒猫!」
「誰が泥棒猫よ!」

第3勢力が加わって激しさを増した私闘を微笑ましく眺めながら、秋弥は自分の隣にいる女子生徒に話しかけた。

「亜璃沙、もう大丈夫そうだね」
「そうだね。さっきはすごく調子悪そうだったけど」

女子生徒の言葉は、的を射ているとは言いがたい発言だった。
亜璃沙は調子が悪かったわけではない。いや、違う側面から見ればある意味『調子が悪い』と表現できるのかもしれないが、彼女が崩していたのは『体調』ではなく、『心象』だったのだから。
それを秋弥は、何となくだが感じ取っていた。彼女は『何でもない』と言ったが、間違いなく何かに悩んでいたのだと。
でも今の彼女の様子は、先程の弱々しい姿とは打って変わって、いつもの気丈な彼女の姿その物だった。
自分の心配が杞憂で済んだ事に安堵しながら、秋弥は2人の女子生徒を伴ったまま再び山道を行く事に専念する。
余談だが、入学から1ヶ月しか経っていないにも関わらず、秋弥は一部の女子生徒から人気を博していた。
積極的に人に手を差し伸べる彼の優しさと、俗に言う『癒し系』とでも呼ばれるような可愛らしい顔立ちが、彼女達の乙女心を刺激したのだろう。
彼について歩くこの2人の女子生徒も、その例外ではなかった。

◇◆◇◆◇◆◇

「よーし、じゃあ今からまた自由時間だ。展望台なんかもあるから、自由に見学して来ていいぞー」

教師の号令を合図に、およそ60人の生徒達は思い思いの場所へ散り散りになって行く。
遊雅と亜璃沙は、男子生徒の粋な計らい(自称)によって、2人で望遠鏡の元に赴いていた。

「亜璃沙、先に覗いてみたらどうだ?」
「いいの?それじゃ、お言葉に甘えるわ」

そう言って、亜璃沙は先に望遠鏡を覗き込んだ。
それはもう絶景なのだろう。亜璃沙は感嘆の声を上げながら景色を楽しんでいる。
遊雅も肉眼で見る山々の景色を楽しんでいた。
だから、背後から聞こえた彼を呼ぶ高い声に、一瞬反応が遅れてしまった。


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