第七十五話
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リトが一度剣を振るうと、爆風が払われて爆炎の魔法が無効化される。須郷は驚愕しながらも左手から光の矢を放つが、キリトはそれをしゃがんで避けると、そのまま須郷の元へ飛び込んでいく。
そして、片手剣ソードスキル《バーチカル・スクエア》を狙い――須郷の聖剣エクスキャリバーに、光が灯っていたことに気がついた。あくまで、キリトが使っているソードスキルがアインクラッド当時のモノを模倣しているに過ぎないが、須郷のソレは見紛うことなくソードスキルの輝き。
片手剣最上位ソードスキル《ノヴァ・アセンション》。聖剣エクスキャリバーから放たれる十連撃の剣閃は、キリトの《バーチカル・スクエア》を簡単に迎撃するだけでなく、キリト本人にすら及んでいく。それでも、キリトはもう片方の剣で防御しようとするが、その連撃数と速度は飛び込んだという不利な態勢もあって圧倒的。
「終わりだァ!」
二刀による防御を突破した須郷の《ノヴァ・アセンション》は、遂にキリトの眼前にまで迫る――
「――ガハッ!?」
――驚愕が交じった血を吐くような声は、キリトのものではなかった。キリトは二刀による防御を最初から諦めており、その隙に態勢を整えるとサマーソルトキックのような――体術スキル《弦月》による攻撃が、須郷の顎を蹴り上げたのだ。須郷の身体は宙に浮かび上がり、何事か分かっていないかのような表情のまま、全く身動きが取れずに硬直していた。
その間にキリトはスタッと闇の足場へと着地すると、黒白の二刀を須郷に向けて構えていた。
「ソードスキルの硬直時間のこと……覚えておいた方がいいぜ」
――二刀流最上位ソードスキル《ジ・イクリプス》。全方向より超高速で繰り出した剣尖による、連続27回の斬撃が空中に浮かんだ須郷を襲い、聞くに耐えない絶叫を闇の部屋に木霊させ、この世界から消えていった。
「…………」
キリトが無言のまま二刀を鞘にしまったのが戦闘終了の合図とでも言うように、須郷の魔法が作り出した闇の部屋は晴れていき、景色は美しい世界樹の頂上へと移っていく。
「終わったの?」
「……ああ」
ゲームマスター……いや、神としてステータスを限界値まで上げていただろう須郷相手に、いくらキリトだろうと《ジ・イクリプス》の直撃だけで倒せるとは思えない。恐らく須郷が消えていったのは、須郷が使用していたであろうアミュスフィアの安全装置――使用者の危険を感じた瞬間に、外部からの強制ログアウトを施す機能だ。《ペイン・アブソーバー》による激痛に耐えられなくなった須郷に、アミュスフィアが正常に働いて強制ログアウトが発生したのだろう。
『――やあ、キリトくん。ショウキくん。後輩がすまないね』
そこまで思索を巡らせていると、相変わらず呑気なような声
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