第七十五話
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ずっと茅場への慟哭を繰り返していた須郷も少し落ち着き、肩で息をしながらもしっかりとその禍々しい眼光はキリトを捉えている。キリトもその眼光から目をそらすことなく受け取り、二刀を構えてすぐに動き出せるような態勢を取る。
「まだだ……まだだ! 君たちの口を封じて、今度こそ死に損ないの茅場先輩を削除してやる!」
そう、奇しくも須郷の言った通りに、まだ何も解決したわけではない。茅場の介入はあくまでキリトと須郷の理不尽な差を埋めただけに過ぎず、アスナを救うためにはこの闇の部屋からの脱出――すなわち、この部屋を作り出した須郷を倒さねばならない。
そして須郷も戦闘力があるキリトさえ排除してしまえば、ゆっくりと茅場のシステムコマンドとやらを削除し、俺たちのことは洗脳でもすれば偽装は可能だ。俺の洗脳は少し手間取っていたようだが、少し時間が経てば全く問題なく須郷は解決策を見つけるだろう。
「決着をつける時だ――」
結果として。アスナを救い出すためにキリトは剣を振るう。
「――鍍金の勇者と盗人の王の」
再開する戦いの開幕は、須郷が放った横殴りの暴風だった。ペイン・アブソーバーの存在もあり、剣での戦いは不利だと須郷は悟ったらしく、キリトとの距離を離しながら魔法での攻撃に切り替えた。その切り替えは、世界樹突破戦でMPの切れたキリトには非常に有効であり、暴風に耐えるキリトに対しさらに雷光を発射した。
対するキリトは、あえて暴風に踏ん張らずに吹き飛ばされて雷光を回避し、見えない闇の壁を足場に須郷の元へジャンプする。迎撃に放たれたファイヤーボールを、空中で身体を捻ることで回避すると、地上に降り立ち《ヴォーパル・ストライク》の要領で須郷の懐へと飛び込んでいく。
須郷は聖剣エクスキャリバーを振り上げ、突きの態勢になっていたキリトを上方から斬り伏せんと、力任せに思いっきり斬りつけると、キリトの白い剣による《ヴォーパル・ストライク》とぶつかり合う。こうなればキリトの方が分が悪い。
「ええい!」
キリトは、半ば無理やりもう一つの黒い剣を横から聖剣エクスキャリバーにぶつけると、無理やりにその軌道を逸らす。しかし、確かに聖剣エクスキャリバーは《ヴォーパル・ストライク》の軌道から外れたものの、キリトへの直撃コースへとなってしまい、キリトは攻撃を中断して横っ飛びで回避する。
「もらった!」
そこを須郷の手の平からウォーターカッターが追撃として放たれていき、キリトは白い剣を回転させることでそれを防ぐ。しかし、そのウォーターカッターを防いでいる間に、闇の床が赤く輝いていく。……須郷が最初に放った爆発を発する魔法。
「ぐあっ!」
キリトは咄嗟に飛び退いたものの、間に合わず片足に爆炎が纏わりつく。それでもキ
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