第七十五話
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振りかざすと、キリトの前に大量の守護戦士が出現する。先程何回倒したか分からない、キリトにとっては文字通りザコ同然の敵だったが――キリトがその光の矢を避ければ、それはアスナたちに命中することを意味する。
「くそっ!」
キリトはそう吐き捨てた後、一斉に掃射される光の矢を黒と白の二刀で弾いていく。危なげなく弾いてはいたものの、キリトはそこから離れられそうにない。
「ああ、もちろん鳥籠のロックは変更してある、無意味さ。……さあて友達に見捨てられたショウキくん、遊ぼうじゃないか!」
そう言って須郷はリズの捕縛を解除すると、リズは迷いなく俺に向かってメイスを振り上げる。しかし筋力値は俺より高いとはいえ、リズはあくまで戦闘職ではない。日本刀《銀ノ月》を使うまでもなく、リズの突撃をステップで避けると――
「――――――!」
――彼女の身体を電流が襲っていた。
「ああ、言い忘れてたけど。彼女の攻撃を避ければ、彼女に本当の痛みが入るようになってるから、気をつけた方がいいよ?」
須郷がわざとらしくそう言うのは本当らしく、痛みに顔を歪める彼女につい手を伸ばすものの、他ならぬ彼女にその手を弾かれる。この世界樹に辿り着く道中にて、かの殺人者《PoH》の格好をした謎の男が使っていた、ゲームの痛みを本当の痛みにするシステム《ペイン・アブソーバー》。彼女に……いや、恐らくはこの場にいる須郷以外の者全員に、そのシステムが組み込まれている。
「くっ……!」
電流の痛みから回復したリズが、近くにいた俺に向かってメイスを振り抜き、俺はその攻撃を避けることが出来ず――リズの一撃が胴体に直撃する。
「がぁっ……ゴホッゴホッ、ガハッ!」
アバラの折れたような感覚とともに、日本刀《銀ノ月》を取り落として俺の身体は吹き飛び、闇の足場をゴロゴロと転がっていた。痛みがキリキリと断続的に響く胴体を抑えながら、俺に出来ることはリズから離れることだった。彼女の攻撃を避ければ彼女に激痛が、彼女の攻撃を一度受けただけでこうなるのならば、自分に出来る手段は彼女の射程外に逃げることしか出来ない。
――恐らくは彼女に攻撃しても、その攻撃は激痛となって彼女を襲うだろうから。
「ああ、あと彼女には、自殺しないようにという命令も刻んでいるんだ。勝手に死なれたら興ざめだからね」
そう言って須郷は、取り落としていた日本刀《銀ノ月》のところまで歩いていくと、足を振り上げて力いっぱい踏むと、日本刀《銀ノ月》の刀身の中ほどから真っ二つに折ってしまう。逃げながらも日本刀《銀ノ月》を拾いに行き、須郷へと斬りかかろうとした俺の狙いを読んでいたらしく、須郷は再び醜悪な笑みを浮かべていく。
「しかし、さっきから彼女は何も喋らないし、激痛を感じよ
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