第四章 誓約の水精霊
第五話 燻る炎
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輝かせながら、奇声を上げている男に、士郎は見覚えがあった。ヤバイ薬をキメたかのようなテンションで、逃げるモンモランシーを追いかけていくのは、これもまたルイズの同級生である。
「ぎ、ギーシュか?」
それは男の生徒では、最も親しいと言える男、ギーシュ・ド・グラモンであった。
モンモランシーを追って靄の中に飛び込んでいったギーシュを、呆然と眺めていた士郎だったが、ギーシュの姿が見えなくなると、すぐに我に帰り、干将、莫耶を消してギーシュ達の後を追いかけ始めた。
「ぎゃあああああっ! 誰か誰かあぁ! たすうけてえええぇえっ!!」
「もんもっ! もんもッ! モンモンっ!!」
「っぎゃあああ――っだあ」
女の子が上げる悲鳴じゃないなと思いながらも、ギーシュ達の後を追いかけていると、モンモランシーのくぐもった声と同時に何かが倒れる音が響く。
靄の外に出ると、士郎の視線の先には、地面に座り込み、後ずさるモンモランシーと、両手を広げ、指をわきわきと蠢かせながらモンモランシーに躙り寄るギーシュがいた。
「ぎ、ぎぎぎぎ、ぎーしゅ……お、おおおおお、落ち着きなさいっ、い、今のあんたはしょ、正気じゃ――」
「モモッ! モンモッランシーッ!!!」
「っぎゃああああ!!!」
頭の上で両手を合わせ飛びかかる……いわゆるル○ンジャンプでモンモランシーに飛び掛るギーシュを、士郎は空中で掴み取った。襟を掴まれ、宙にぶらりと浮いているギーシュは、それでもモンモランシーに近づこうと両手を伸ばす。まるで餌に飛び掛る飢えた獣のようなギーシュを、士郎は空いた手で首の頚動脈を押さえることで意識を飛ばした。
意識が無くなったギーシュを、そっと地面に下ろした士郎は、呆然と見上げてくるモンモランシーに目をやる。
「み、ミスタ・シロウ?」
「大丈夫か?」
「え、ええ。ありがとうございます」
「そうか……しかし」
いつも以上にだらしない笑みを浮かべ、気絶しているギーシュを一別すると、呆れたような表情でモンモランシーに問いかけた。
「ギーシュは一体どうしたんだ?」
「っ! ……さ、さあ、ど、どうしたんですかね?」
「……」
「なっ……何ですか、ミスタ・シロウ」
明らかに様子のおかしいモンモランシーの姿に、士郎の視線はジトリとした、疑わしい目つきになる。士郎の視線の変化に気付いたモンモランシーは、ゆっくりと士郎の視線から逃げるように顔を横にずらした。士郎から顔を背けるモンモランシーの前に移動した士郎は、膝を曲げ視線を合わせ、目に力を込めモンモランシーを見つめる。
「で? 原因は何だ?」
「っ! げ、げげ原因? な、ななな、何もし、知らないわよ」
「……はぁ……分かった。それ
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