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剣の丘に花は咲く 
第四章 誓約の水精霊
第五話 燻る炎
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 窓から差し込む、微かに月明かりが、明かり一つない部屋を薄ぼんやりと照らし出している。ねっとりとした粘りつくような独特な臭気に満ちた空気を掻き分けるように、ベッドから物音一つ立てることなく、一人の男が立ち上がった。浅黒い肌に、無数の傷が刻まれる身体を隠すことなく、男……士郎は窓に近づき、細めた目で月を一度見上げた後、ゆっくりとした動作で窓を開けた。

「ふぅ……」

 外から吹き込んでくる澄んだ冷たい風が、未だ身体に残る火照りを冷まし、思わず息を漏れる。息と共に、ごくりと唾を飲み込むと、ゆっくりと身体を回す。振り返った先には、ベッドで眠る三人の女。何一つ身に纏うことなく、力なく横たわるその姿に、フラッシュバックのように昨夜の情事が脳裏に読みがえる。ふっ、と意識が遠くなり、折れそうになる首を支えるように、右手で顔を覆うも、結局ガクリと首を垂れた。
 


 キングサイズのベッドには、白い裸身を露わに眠りこける三人の女。
 その姿は、何も知らない者が見れば、思わず顔を顰めてしまう様な光景が広がっていた。ベッドの上では、何も身に纏うことなく白い肌を露わにした女の肌と、白いシーツには、所々に赤い染みと、生乾きのべっとりとした白いもので汚れている。あたかもそれは、何人もの男達の慰みものになったかのような有様で、酷く胸が悪くなる光景であったが、眠りこける女達の顔には、何故か満たされたような笑みが浮かんでいた。
 女達が満足そうな笑顔に、垂れた顔に思わず苦笑を浮かぶ。右手で覆った手の指の隙間から、溜め息のような声が漏れる。

「やってしまった……」

 後悔とも懺悔ともつかない言葉を、顔を覆った手の隙間から零した士郎は、床に落ちている自分の服を掴みとり、素早くそれを着込むと、足音をたてることなくドアに向かう。物音一つたてることなくドアに辿り着くと、ドアノブに手を伸し――背後で小さくルイズが呟く。

「……シロ……ウ……」

 どこか苦しそうな声色に、肩越しに首を回す。ベッドの上では、ルイズがシエスタとロングビルの豊かな胸に顔を、身体を挟まれており、助けを求めるように、苦し気に天井に向け、手を伸ばしていた。
 初めはピンッ、と伸ばされていた手は、次第にぷるぷると小刻みに震え出すと、さらに手の指が忙しなく動き出し……ぷにょん、と胸肉の海に落ち、次第に沈んでいく。

 肉の海に沈んでいくルイズの様子に、静かに目を閉じ、冥福を祈るように数秒黙祷した後、ドアを開け外に出ていった。 










「……ん……ぁ……」

 肌を撫でるひんやりとした風の感触に、シエスタの意識がゆっくりと浮上していく。覚醒が近づくにつれ、様々な感覚も共に目覚めていった。
 冷えた風に混じる、生臭い独特の臭いに眉根を寄せ、眉間に皺
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