4話 孤独な行動 孤独な数字
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.切嗣..」
綺礼は窓から見える夜景を観ながら呟いていた。今まで、綺礼の人生には何の意味も無かった。
これといった夢や目標も無く自分は何のために生きているのか分からなかった。そ
んな彼が、やっと自分の人生の答えを見つけられそうな気がしていた。
''衛宮切嗣'' 今回、アインツベルンのマスターとして参加している男。
この男の行動は、あまりにもほかのフリーランスで稼いでいる者らと違う人間のように感じた。
アインツベルンに拾われるより以前のフリーランス時代に、切嗣がこなした数々の任務。
それらの間隔は明らかに短すぎた。
準備段階や立案の期間まで考えれば、常に複数の計画を同時進行していたとしか思えない。
さらにされを並行して、各地の紛争地に出没しているが、よりよってそのタイミングが、戦況がもっとも激化し破滅的になった時期にばかり該当している。まるで死地に赴くことに、何かの強迫観念があったかのような……明らかに自滅的な行動原理。間違いなく言える。
この切嗣という男に利己という思考はない。彼の行動は実利とリスクの釣り合いが完全に破綻している。これが金銭目当てのフリーランスであるわけがない。では──何を求めて?
「……」
綺礼はカーテンを閉めベットに座ると、顎に手を添えて黙考に耽っていた。
衛宮切嗣という人物の、余人には理解の及ばない苛烈な経歴が、綺礼には他人事には思えなかった。
誇りのない魔術師、信念を見失った男、そう時臣は言っていた。
だとすれば、切嗣のこの狂信的な、まるで破滅を求めたかのような遍歴は……あるいは、見失った答えを探し求めての巡礼だったのではあるまいか?
そして、飽くことなく繰り返された切嗣の戦いは、九年前に唐突に幕を閉じる。
聖杯を勝ち取る剣闘士を求めた、北の魔術師アインツベルンとの邂逅。
つまり、そのとき彼は''答え''を得たのだ。いまや綺礼は切実に、衛宮切嗣との邂逅を待ち望んでいた。ついに彼はこの冬木での戦いに臨む意義を得ていた。依然、聖杯などというものに興味はない。
が、それを求めて切嗣が九年の沈黙を破るとなれば、綺礼もまた万難を排してそこに馳せ参じる意味がある。言峰綺礼は、是が非でも一度、衛宮切嗣と対峙しなければならない。
たとえそれが互いの生死を賭した必滅の戦場であろうとも。
(聞かねばなるまい、奴は聖杯戦争に何を求め何を手に入れるかを!………)
○○
アーチャーは山の頂上でアインツベルンと冬木市の街を偵察していた。
(やれやれ、全くもって不思議なことだ)
彼は冬木市の街を観ながら感じていた。まさか第四次聖杯戦争に呼ばれるとは思わなかったのだ。
起こるはずがないと判っていながら待ち続けたが、奇跡か、はたまた
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