トロール襲来
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」
「知るもんか」
「どうでもいい。今はスネイプよりあいつだ」
ハリーが疑問に思うが、それどころじゃないと二人は一蹴する。スネイプの足音が段々と消えていく方向を耳で追って、3人はできるだけ音を立てないように身体を屈めて廊下を歩いていった。
「スネイプは、四階のほうに向かってるよ」と言うハリーを、ロンが手を上げて制した。クレスは真剣な顔をしている。
「なにか臭わないか?」
「この匂い……近くにいるな」
ハリーが匂いを臭いでみると、汚れた靴下と、掃除をしたことがない公衆トイレのような匂いが混じった悪臭が鼻をついた。
次に音が聴こえてきた。低い唸り声と、巨大な足を引きずるようにして歩く音だ。
ロンが指差した方向には、廊下の向こうの左側から何か大きな物がこっちに向かって近付いて来るところだった。三人が物陰に隠れて様子を伺っていると、月明かりに照らされた場所にその大きな物がヌーッと姿を現した。
背の高さは4メートルも有り、肌の色は墓石のような鈍い灰色で、そのずんぐりとした巨体は岩石のようにゴツゴツしていて、ハゲた頭は小さく、ココナッツがちょこんと乗っかっているようだった。短い脚は、木の幹ほども太くて、地面に触れる足の部分はコブだらけで平たくなっていて、腕が異常に長いので、手にしている巨大な棍棒は床を引きずっていた。
「でやがったな……始末しておくか」
「待って! 少し様子を見よう!」
すぐさま出ていこうとする無鉄砲なクレスを、ロンがガウンの袖を掴んで引き戻す。
トロールは、ドアの前で立ち止まり、中をジッと見た。
長い耳をピクつかせ、中身のない頭で考えていたが、やがて前屈みになってノロノロと中に入っていった。
「鍵穴に鍵が付いたままだ。あいつを閉じ込められる」
「名案だ」
「正直気が進まねぇが……後で教師にとやかく言われんのは確かに面倒だな」
ハリーが声を殺して言った提案に、ロンはびくびくした声で、クレスは渋々といった感じで同意した。
クレスは慎重に進もうとした二人を押し退けて何の迷いもなくドアまで近づき、鍵を掴みドアをバタンと閉めて鍵を回した。
「後は大人に任せときゃいいだろ」
「君って本当グリフィンドールらしいよね……」
「まあいいじゃないか! 早く戻らないとパーシーがカンカンになっちゃうよ」
勝利に意気揚々として、二人はもと来た廊下を走って行き、クレスもそれに続いたが、曲り角まで来た時、心臓が止まりそうな声を聴いた−かん高い、恐怖で立ちすくんだような悲鳴−今、鍵を掛けたばかりの部屋の中からだ。「しまった」と言ったロンの顔は、これでもかと言うくらい真っ青になっていた。「女子用トイレだった!」と言ったハリーも思わず息を飲む。
「……本当に、世話の焼ける奴だな!」
クレスは自
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