第十三話
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この人なら受け止めてもらえそうな気が少しばかりして。
「……兄上が出奔された原因、半分は俺のせいだ」
零した言葉に夕殿が酷く驚いた顔をする。誰にも、政宗様にさえも話さなかった言葉に驚くのも無理は無い。
というか、姉上が出奔した原因自体俺以外知らないのだから。
「片倉様が政宗様から離れるようにと勧めた、というのは知っておりましたが……」
思わぬ言葉につい眉を顰めてしまう。どうしてそのようなことを夕殿が知っているのか。
誰にも話していないというのに、情報が何処かで漏れているというのか?
「……それ、人に話した覚えがねぇぞ。何処から聞いた」
「景継様から……出発なさる前にたまたまお会いして、事情をお聞きしたのです。
政宗様から離れなければならない事態になったから、と。頃合を見て戻ってくるから心配するなと言っておりました。
あと、片倉様をよろしくとも」
……出奔するその時まで俺の心配か。本当に……俺を甘やかしすぎだ。あの人は。
こういう場合、自分の身を心配するものだろうに。これから先、どうなるかも分からないのだから。
「それで、何をなさったのですか」
馬鹿正直にそれも答えて良いものだろうか。俺の保身というのもあるが、下手に話せば姉上に迷惑がかかるだろう。
実の弟に惚れられた、などと姉上にすれば醜聞にしかならない。だが、夕殿は何かに気付いたようにもしかして、と言う。
「……片倉様も景継様に惚れたクチ、ですか?」
「……“も”?」
一瞬的を得た発言に動揺したが、すぐに疑問が頭に浮かんだ。片倉様“も”、と言ったのだ。
ということは、他にも惚れている人間がいる、ということに他ならない。政宗様以外にでだ。
「景継様をお慕いしている方は多いですからね。
実の弟君である片倉様であっても、相手が景継様であるのならば納得してしまいますわ」
こちらの予想外の言葉につい口をぽかんと開けて呆然としてしまった。
いや、確かに政宗様以外で惚れている奴がいるって話は知っていたが、
まさか俺が惚れても納得するというほどに多いとは思いも寄らなかった。
「兄上は、そんなに惚れられてるのか」
「それはもう、男女問わずおモテになる方ですから。
私達侍女はあの方の事情を少し知っておりますが、それでも皆、景継様をお慕いしております。
かくいう私も昔は……」
ほんのりと顔を赤らめた夕殿に、俺は顔を引き攣らせていた。
不毛だ、そう言いたくもなったが、自分のことを棚に上げてそれは言えない。
姉に恋する弟なんぞ、不毛以外の何者でもない。
「……まぁ、振られてしまいましたけれども」
「振られた?」
思わず聞き返してしまった俺に、夕
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