第三章〜その頃、奥州では〜
第十二話
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分かるようになった。
今俺は、侍女の胸に顔を埋めるような形で、眩暈が治まるのを待っている。
全身から血の気が引いた後、一気に顔が赤くなっていくのが自分でも分かった。
眩暈が治まりきる前に身体を離して侍女に向かって俺は深々と土下座をする。
「申し訳ねぇ!! に、二度もこんなこと……本当にすまねぇ!!」
侍女は呆気に取られたようであったが、すぐに可笑しそうに笑い声を上げる。
俺はばつが悪そうに頭を上げて、何処か機嫌を伺うように侍女を見ていた。
「も、申し訳ありません……いえ、片倉様がそのようなことを平気でなさる方ではないことくらい、
分かっておりますゆえ……ふふっ」
それでも笑いが止まらないと、俺を見て侍女は控えめに笑っていた。
俺の失態を笑われていることが何だか恥ずかしくなってしまって、何も言えずにただ目を逸らしてしまう。
「さぁ、あまり調子が良くないのですから、無理をなさらず……」
もう少し横になっているようにと促され、俺は言われるままに横になった。
こんな失態を犯して眠れるか、とも思ったのだがやはり調子が悪いのか、すぐにまた眠気が襲ってくる。
……そういや、こうやって具合が悪い時に誰かが側にいる、ってのは久しぶりかもしれねぇ。
ふとそんなことを思う。
普段は無理を押して仕事をするし、具合が悪ければ特に何も言わずにさっさと寝てしまうから、
伊達に仕えるようになってからは姉上でさえ調子が悪くなっても側にいたことはなかった。
昔はよくこうして体調を崩すと姉上が側にいてくれたのだが。
うとうとと眠り始めた辺りで侍女の気配が遠のいていくような気がした。
部屋から出て行くのか、などと思っていたところで侍女が小さく驚いた声を上げている。
何事かと思って目を開くと、あろうことか俺が侍女の手をしっかりと握っていた。
「なっ……!」
意図してやった行動ではないので、酷く間抜けな声を上げていたと思う。
完全に無意識の行動に恥ずかしくて堪らなくなった俺は、非礼を承知で侍女から背を向ける。
きっと顔は真っ赤になってるだろうと思いながらも、向かい合って謝る気にはなれなかった。
「す、すまねぇ!」
若干の沈黙の後、侍女は耐えられないとばかりに笑い声を上げていた。
何だか泣きたくなってきた俺は布団をしっかりと頭まで被る。
ガキか、俺は……ちぃっと調子が悪くなったくらいで何を心細くなってやがる。
「片倉様、お休みなるまでここにいますから安心して下さい」
子供染みた行動をして羞恥に悶えてはいたものの、その優しい声色に何故か酷く安堵している自分がいて、
情け無いと思いつつも眠れるような気がした。
布団から顔を出して一
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