第一物語・前半-未来会議編-
第三章 覇王の会議《1》
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と関心するロロアを余所に魅鷺は外にいる忍者を見る。
気付いてるで御座ろうな。
いざとなれば、武器を交わすことにやるかもしれない。しかし、それは彼方も覚悟はしているだろう。
仲間達が騒いでいるなか、静かに思った。
●
介蔵は建物内からこちらを観察するような、鋭い視線を感じていた。
幼き自分が追い抜こそうとした、同年代にして忍としての才を持つ一人のくの一。
魅鷺に御座ろう。
思ったが振り向きはしない。事実であることに確信を持っているからだ。
彼は一歩下がり、気を沈める。
そのなかで、彼は思う。
今の自分は覇王会の職務を務め、彼女は覇王会には勤務めてはいない。これが知らしめるのは、単純な力の差と信頼の違いだ。
しかし、彼は知っている。
――“彼女は必ず追い付いて来る”と。
そんなことを余所に、右側に立っていた女子学勢が前へと出た。
綺麗な足取り、まるで相手を威嚇するような足音。
「宇天覇王会隊長兼指揮官、草野芽・実之芽」
それだけを言い、後ろへ下がった。
必要最低限のことを言っただけ。ただそれだけだった。
早っ! と、ニチアが言ったが周りは気にしていない。その様子が気に入らなかったのか、ニチアはまた膨れた。
無理も無い。先程の女子学勢は覇王会の役職を二つ持っていた。つまり役職を二つ任せられる程の実力を持つということなのだからだ。
「奏鳴様、前へ」
「……? あ、分かった」
後ろに下がって来た実之芽に言葉を掛けられ、少し驚いた後でゆっくり前へ女子学勢は歩む。
その姿はまるで、何かに脅えている小動物のようにも見える。
最後に紹介するということは、彼女が宇天覇王会会長であることは誰にでも理解出来た。が、あまりにもその風格が無いことに違和感を覚えた。
辰ノ大花は奥州四圏の一地域であり、神州瑞穂の主力の一つでもある。
その地域の学勢を仕切る者が、あたりにも弱く皆の目には映ったために。
「私は宇覇王会会長ヶ長、委伊達・奏鳴だ。お互い意味のある会議をしよう」
「そんなのはそっちの返事次第だよねえー」
さらっと余計なことをニチアは発言する。
雷の如く、これに即座に反応したのは宇天覇王会の実ノ芽だ。
「それは宣戦布告かしら?」
「何よ、だってそうじゃない。私、間違ってないもん」
「ニチア、今のはお前が悪い。宇天長、申し訳無い。こいつは何かと突っ掛かってくる奴なんだ。今からマジ叱っとく」
「わ、分かった。実之芽、あちらには悪気は無い、そう気を立てるな」
長が言うので、分かりました、と実之芽は黙り姿勢を正す。一方のニチアの方は飛豊にマジ叱られており、苦笑いをしていた。
日来覇王会の面々は長を除き皆、安心したような、呆れたようなため息を漏らす。
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