第十一話。人喰い村からの脱出
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」
背後の一之江がそう言って俺の背を引っ張った。
途端に身体が自然に動き、襲ってきた村人達の攻撃をするりと回避した。
そのままふわりふわりと、俺と音央の体はまるで空を舞う綿毛のように、彼らの攻撃を回避して進んでいった。
「わっ、わっ、何これ??」
「人の動きには流れがあります。それを見抜けば、こんな操り人形のような人達の動きはいくらでも操れるという事です」
一之江は凄い武術の達人みたいな事を言った。
一之江が促した動きに沿っての移動。
時に引かれ、時に押され、ゆらりゆらりと人の波を流れる水のように動き続ける。
「ははっ、まるで流水のようだな」
名付けるなら『流水』で決まりだな。
一之江が使う技に名前を考えていると。
……気が付いた時には俺達はもう、詞乃ちゃんがいる木の真下に到達していた。
村人達は俺達はまださっきの場所にいると思っているのか、わらわらとそちらに群がったままだ。
「ああ、上を見たら刺しますよ」
「……見ないよ」
詞乃ちゃんのスカートの中を見る気はない。
大変魅力的だが、今の状況でそんな事をするつもりはない。
いや、今の状況じゃなくてもしないが。
「へえ、面白い技を使うんだね?」
真上から聞こえる詞乃ちゃんの声。
俺は上も後ろも見れないという首固定の状態だ。
「詞乃ちゃんは強いのか?」
「何度ザクザクしてもすぐに治ったので、飽きて逃げてきました」
ああ。だから服がビリビリに切り裂かれているのか。
ブラド並みの回復力だったもんな。詞乃ちゃんの体は。
「そんなわけで逃げますよ」
「ああ、そうだな。
だけどどうする? 今のままだと追いつかれるよ?
この村から脱出出来る手段があれば、な……」
「私の能力で出ればいいでしょう」
ん?
一之江の能力で出る?
「キリカさん辺りに電話かければいいんですよ」
「あー、なるほどな」
『どんな所からでもかけた相手の場所に移動する事が出来る能力』。
それが一之江が持つロア、『月隠の呪禁人形』の能力だからな。
「音央達も連れて行けるかな?」
「ええ、大丈夫です」
その言葉を聞いて安心した俺は、一之江の姿を見ないように気をつけながら詞乃ちゃんがいる場所を振り向いて見上げて言う。
「じゃあ、詞乃ちゃん。『また』ね!」
「そう、脱出手段があるんだね? させないよ??」
村人達が一斉に迫ってきた。
その速度は先ほどより速い。
「リサ!」
俺がリサの名前を叫ぶと、もの凄い速さで金毛の獣が村人達を薙ぎ払いながら近づいてきた。
リサは俺達の側に来ると、背中に乗せていた子供達を下ろして人間の姿に戻った。
み
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