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101番目の舶ィ語
第十一話。人喰い村からの脱出
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つもの自分』でいられるようにしているように見えた。

「んもう……あんたって、ほんっとエッチよね。こんなピンチな時でもそうなんだもん」

「ピンチの時の方が生存本能が上がるっていうからね」

俺達、遠山の一族が持つ力……ヒステリアモードは性的な興奮をトリガーに発達したものだが『生存本能』も発現には関わっている。あれは『子孫を残す』という本能により発現するものだからな。

「ハイハイ。一之江さんと会長にチクるわよ?」

「すみませんでした音央さん。清廉潔白(せいれんけっぱく)な紳士を目指します」

「よろしい」

くすっ、と笑いながら座り込む音央。俺もその横に座って、ふぅぅぅ、と息を吐いた。
……また連中が襲ってきたら、走り出さないといけない。
だから今のうちに休んでおかないと。

「ま、あんたがいつもと変わらないままでいてくれるから……助かってるわ」

「ん、こっちこそ、だよ」

「あんたも実は混乱してたりするの?」

「ああ、実は今回の事件は俺にとっては三つ目くらいの怖い都市伝説なんだ」

『ご当地ロア』の時は一之江とキリカが側にいたからそれほど恐怖は感じなかったからな。
何も知らずに追いかけ回された一之江の時や親友だと思っていたクラスメイトに殺されかけたあの事件に次ぐ厄介な事件になってしまった、と今は後悔している。
俺一人がそういった事件に遭うのならまだいい。だが今回の事件は何も知らない一般人の音央も巻き込んでしまっている。しかも、事件現場となった村の中に前世の知り合いや死んで生き返った子供達もいるといった状況だ。
混乱しても仕方ないだろう。

「へえ、そうなんだ?」

音央は俺の顔をまじまじと見つめてきた。
俺はまだロアといったものがどういった存在か、ある程度の知識があるからいいが、何も知らない音央からしたら怖くてたまらないだろう。
音央はそれでもついて来てくれているんだ。
感じている不安は俺の想像以上なのかもしれない。
それでも落ち着いて見えるのは、多分……頑張って強い姿勢を見せているからだろう。

「ごめんな」

「うん?」

「本当は君まで怖い目に遭わせるつもりはなかったんだ」

怖い目に遭うのは俺だけでいい。
こんな、可愛らしく、明るい美少女に味わせていいものではなかった。
だから一之江と一緒に俺達だけでなんとかしようとしたんだ。
……いくら事故とはいえ、巻き込んでしまったのは事実だからな。

「ぷっ、あははは!」

巻き込むつもりはなかった、と謝罪したら何故か大笑いされた。
……なんか変な事言ったかな? 俺……。

「なんだよ?」

「ううん、あんたらしいわ、と思っただけ」

「えっ?」

「元々はあたしが誘ったんだも
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