第九話
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った佐助の頭を洗濯板で思いっきり殴ってやりました。かわす余裕なんか与えません。
小十郎と並んで剣の達人と言われた私ですもの。忍に遅れを取るような真似は致しません。
全く、こんな男が幸村君の世話係やってんだもんね。参っちゃうよ。
あの純情で真っ白な幸村君がこんな男になっちゃったら、私もう何を信じていけば良いのやら。
「……はっ、俺様一瞬意識飛んでた……」
「記憶喪失になるくらいまで殴ってやろうか」
「それは遠慮する……それでどうするつもりなの。
旦那はアンタのこと気に入ってるみたいだけど、このまま居続けられてもこっちも困るし」
そりゃ、私だっていつまでも甲斐に留まるつもりは無い。
甲斐と奥州、割合距離が近いから留まってたらあの馬鹿主が迎えに来ちゃうもん。
今の状態で迎えに来られても正直困るだけだし、近いうちには出て行くつもりでいる。
「ん〜……ある程度稼いだら出て行こうかとは思ってるんだけどね。長居するつもりはないから。
てか、急に出て行くことになったから、一日二日くらいの家出レベルの持ち合わせしか用意出来なかったのよ。
宿にも泊まれなくて困ってたんだわ」
甲斐に辿り着くまでずっと野宿だったし、野草積んで食べてたりしたし……
ホームレスだってこんな生活しないよってくらいの生活してましたもん。ホント。
たまにテレビでやってた無人島生活だって、今の私よりももっとまともなもん食ってたし。
「まぁ、間者じゃないってのは分かったけど……妙な動き見せたらどうなるか」
「別に探り入れて情報流す気はないから。私もここにいるって知られたくないし」
持ちつ持たれつで当分お願いしたいもんだよ。無論、私も奥州の情報を横流しする気はないけどもさ。
「ところで……元気にしてた? 政宗様も小十郎も」
何となくそんな風に佐助に聞いてみると、ほんの少しだけ驚いたような顔を見せて口を開く。
「ん? まぁ……元気っちゃ元気なんじゃないの? 独眼竜はずっと怒ってたし、右目はそれを諌めてたし」
「……ああ、やっぱり小十郎が苦労してんだ」
私が逃げれば苦労するのはあの子だと分かってたんだけど、やっぱりそういう展開になってるのね。
「気になるんだ」
「そりゃ、まぁ……馬鹿な子ほど可愛いって言うでしょ。
小十郎もああ見えて結構可愛いんだから。顔はいかついけど」
私は政宗様の傳役じゃなかったけど、世話係みたいなもんだったしね。
小十郎じゃ教えられないようなことを教えてきたの、私だしさ。
……何処で育て方間違ったのかなぁ……政宗様も小十郎も。惚れさせる方向に持ってった気は一切ないんだけども。
小十郎は甘やかし過ぎたのかもしれないけど、政宗
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