第十三話
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。安心したまえ」
そういう二人に促されてか、鈴ちゃんは話し始める。というか、なんか本当に絵さんがかっこいいんだけど。
「それでは……パイセンは、どこまで知ってますか?」
「どこまで、なぁ……さっき鈴ちゃんがやってたようなやつとか、クラリネットだけ宙に浮いて演奏し出すとか」
「なるほど、全体的に知られてたところまでなんですね。なら、吹奏楽部で知られていたものは知ってますか?」
「……そんなものがあったことすら、知らない」
聞いてみると、吹奏楽部なら全員、そうでない生徒でもちらほらと知っている物らしく、絵さんは昔なら生徒全員が知っていたと言った。ということは、大分昔からその噂は存在するらしい。
「じゃあ、そこから話しますね。……元々は、神隠しの一種として噂されていたものなんです」
昔、ここ八霧中学の吹奏楽部にとても熱心に練習している部員がいました。
その子はクラリネットを演奏していて、決して上手とは言えなかった。
それでもとても楽しそうに、そして熱心に練習していたので、大会に出場するメンバーにも入れました。
ほら、この学校って昔から吹奏楽部が強くて部員が多かったじゃないですか。
だから、昔は出場メンバーの選出とかやってたらしいんです。
それで大会の前々日。その子はうっかり楽譜とか一式を音楽室に忘れてしまったんです。
まだ次の日には練習があるから絶対に持ち帰らないといけないわけじゃないんですけど、その子はまじめで。
リード……って言っても分からないですよね。ここの、口をつけるところのことなんですけど。
これって、湿度とかで簡単に形が変わったりしちゃうんですよ。困ったことに。
だから毎日ちゃんとしてたのを学校に置きっぱなしにするのがどうしても出来なくて。
それで、学校に向かって入れてもらったんです。そしてそのまま、音楽室に向かいます。
そのこはそのまま音楽室に入ろうとしたんですけど、もう夜なのに中からクラリネットの音が聞こえてくるんです。
その子はおかしいということに気付きながらも、その上手な演奏に惹かれてそっと音楽室に入り、その演奏を後ろでじっと聞きます。
と、ここまではパイセンが知ってるのと同じような流れですね。違ってくるのはここからなんですけど。
どうしても誰が演奏してるのか気になったその子は、演奏していた子に近づいて、あることに気付きました。
なんと、その子が使っていたのは忘れたクラリネット……いえ、正確には忘れさせられたクラリネットなんですよ。
まあつまり、その演奏している子に隠されていたわけですね。
そこに気付いたところで、演奏していた子はどんどん近付いていきます。
それが怖かったのに動けな
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