第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
木ノ葉崩し
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、その数秒だけで二人の運命はわかれた。ヒアシさまは宗主となり、父上は分家に落ちた。そしてたった数秒遅く生まれたが故に、父上はヒアシさまの身代わりとして殺された」
だから日向ネジは宗家を恨んでいるのだ。誘拐された従妹のために自分の父が死ななければいけない理由は、伯父が宗家で父が分家という理由だけだった。日向宗家が警備をもっと厳重にしていればヒナタが誘拐されることもなかったはずなのに。
「籠の中の鳥」の意味を持つ悪趣味な呪印に対しても、事件のあったあの日その呪印でヒザシを苦しめたことも、そしてヒザシが死ぬ要因の一つとなったヒナタの予選での愚かしい行為も、ネジの宗家に対する怒りを膨らませるには充分だった。
「人の道はすべて運命によって定められている……公平な運命など、それは死のみだ!」
次第に高ぶっていく感情を抑えきれない。まだ理性を保つ心のどこかがそんな自分を叱咤するも、止まらない。一度断ち切ってしまった堰をもう一度築くのは難しかった。
「でもっ! お前だって……っ! 予選でヒナタのことあんなぼっこぼこにして、お前だって、必死に運命に逆らってたじゃんかよっ!」
ネジが殴られたかのような顔をして一歩後ろに下がった。
運命。その言葉で片付けてしまうのは、とても簡単だ。もしかしたらネジは運命というその言葉に逃げていたのかもしれない。運命、その言葉で片付けてしまえなければネジはとてもこの理不尽には耐え切れなかっただろうから。
宗家と分家。たった数秒でわかたれた運命、たった数秒遅かっただけで死ぬことになった父。その死に対する理不尽を、運命という言葉で片付けてしまわなければ、ネジは形振りかまわず宗家に突っ込んで大暴れしていたかもしれない。だから彼は運命という言葉で自分を納得させようとした――本当に納得できたかは別として。
しかし納得できていなかったのは確かだ。分家だから宗家には逆らえないと言いながら、呪印があるだのなんだのと言いながら、宗家のヒナタと当たった時には瀕死の重傷まで負わせた。そこまでしなければ諦めてくれはしなかったのだろうけれど、怒りに我を忘れかけたのもまた事実。運命がなんだのといいながら結局はそれに逆らおうと必死だったのを、ナルトはあの試合でちゃんと見抜いていたようだった。
「もしお前が本当に何にも出来ないって言うんなら! 俺が――」
ナルトの声を断ち切る大きな音に、ネジもナルトも一旦会話を中断して木の上に飛び移った。見ると巨大な蛇が塀を打ち壊して木ノ葉に入ってきているところである。
「大蛇丸……!」
「大蛇丸?」
訝しげながらに白眼を発動し、ネジはチャクラを探知する。途端、こちらに急接近中の一つのチャクラに気づいた。どこかで見たことのあるチャクラだ。少しの間見ていて気づいた。ケイ、
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