ハロウィーン
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つには我慢できないって言うんだ! まったく悪夢みたいなヤツさ!」
廊下の人ごみを押し分けながら、不機嫌ここに極まれりといった感じで吐き捨てた。
不意に誰かがハリーにぶつかり、急いで追い越していった。その正体はハーマイオニーだった。ハリーがチラッと顔を見ると、驚いたことに、泣いていた。
「今の、聞こえたみたい」
「それがどうした? 誰も友達がいないってことはとっくに気がついているだろうさ」
「まあ、少なくともその現状をよしとしているわけじゃあないみてぇだな。……棚の近くで寝そべっていたところでぼた餅は降ってこねぇのにな」
ハーマイオニーに出て来なかったし、その日の午後は一度も見かけなかった。
ハロウィーンのご馳走を食べに大広間に向かう途中、パーバティ・パチルがラベンダー・ブラウンに話している内容を、クレス達は小耳にはさんだ。曰く、ハーマイオニーがトイレで泣いていて、一人にしてくれと言ったらしい。
「……ちょっと、悪いことしちゃったかな」
「さあな」
バツの悪そうな顔で漏らしたロンの言葉を、無関心そうな顔で流すクレス。
「さあな、って……クレスは気にならないの?」
「どうでもいい。あいつの心がまだ死んでねぇなら起き上がってくるだろ。そうでなかったら……もう会うことは無ぇかもな」
「君、友達とか家族以外にはかなり冷たいよね……」
「ああ、自覚してる」
ハリーの問いにもクレスは気だるげに返す。その様子にロンは少し顔がひきつるが、やはりクレスは無反応だ。
クレスは聖人でもお人好しでもない。大して仲の良くない同級生が塞ぎこんだからといって、わざわざ慰めに行ってやるようなできた人間ではないのだ。
そうこうしているうちに三人は大広間に着いた。
「「ワァァァァァオ!!」」
「お前らはお前らで現金だなオイ……」
ハロウィーンの飾り付けはまさに圧巻の一言だった。
千匹のこうもりが壁や天井で羽をばたつかせ、もう千匹が低くたれこめた国雲のようにテーブルのすぐ上まで急降下し、カボチャのランタンの炎をちらつかせた。
新学期の始まりと同じように、突如金色の皿にご馳走があらわれた。
生徒達がご馳走を堪能している最中、クィレル先生が全速力で部屋にかけこんで来た。ターバンは歪み、顔は恐怖で引きつっている。みんながそれを見つめる中を、クィレル先生はダンブルドア先生の席までたどり着き、テーブルにもたれかかり、あえぎあえぎ言った。
「トロールが……地下室に……」
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