第19話〜蒼穹の大地〜
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積を誇っていた。もう夜も遅かったため、料理を振舞ってくれたファトマにごちそうさまと一言告げ、ガイウスとその弟や妹たちに案内されながら客人用の住居へ向かった。妹たちにせがまれたらしく、ガイウスは彼女らと寝るそうだ。
「すまないな、男女別で用意できればよかったんだが」
「ううん、気にしないで」
「リィンさんやケインさん、それにアレスさんなら紳士なのは間違いありませんし」
「ふむ、あまり自覚は無いが・・・」
「リィンはともかく、俺とアレスに問題なんてないよ」
「ああ、確かにな・・・っておいっ!?」
(前科持ちは辛いよな・・・かわいそうに)
ケインの発言にリィンから心外だと声が上がるが、華麗にスルーしてガイウスの話を聞いておく。遊牧民の朝は早く、日の出と共に起床するそうだ。彼が起こしに来てくれるので心配ないだろう。最後に「良い夢を」と言ってからガイウスは実家へ戻って行った。
「・・・さて、アレス、リィン。ちょっと散歩に行こうぜ」
「ああ、私は構わないぞ」
「えっ、どうしてだ?」
ケインの提案にわざわざ理由を尋ねてくるリィンに対してため息をひとつ。
「へぇ・・・リィンはアリサとエマの着替えが見t」
「あはは、三人で一緒に行こうそうしよう・・・というか、そうさせてくれ」
妙なところで唐変木なリィンに懇切丁寧な説明をしようと思ったが、口を手で塞がれてしまった。ケインとリィンには、現在進行形でアリサの訝しげな視線が突き刺さっている。
(何だよ、リィン・・・俺まで巻き込まないでくれ)
(つ、つれないことを言うなよ)
(さて、どうしてくれようかな)
(何だか弱みを握られている気分なんだが・・・)
「何でもないよ・・・まぁ、適当に呼んでくれると助かるけどさ」
「・・・判ったわ」
狼狽するリィンが不憫に思えてきたので、ケインはそれ以上何も言わないでおく。それから先ほどのやり取りを誤魔化してアリサに話しかけたつもりだったが、彼女の視線は変わっていない。その場から逃げるようにケイン、リィン、そしてそれに続いたアレスは夜の散歩へと繰り出す。
異国の文化を学ぶまたとない機会に胸を躍らせながら、A班の夜は更けていった。
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