8話 「パワフル・レディ」
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顔面を殴り飛ばした。
――さて、ガゾムは戦いを好まない気質のヒト種なのだが、実はその身体能力――とりわけ腕力は有角種のヒトに勝るとも劣らない。そして彼女が構える携行砲は一丁に付き重量およそ20ケイグ(※約40kg)。言うまでもなく携行砲は鉄製だ。
そんな重量の鉄を怪力で振るえば、その威力は魔物を屠るには十分。
顔面に叩きこまれた鉄拳はエッジウルフの顎や牙をガラスのように容易に砕き、哀れその衝撃で顔面をほぼ粉砕された獣は放物線を描いて宙を舞った。確認するまでもなく、即死である。
携行砲ありきとはいえ素手で魔物の顔面を粉砕するその剛腕。
携行砲の先端から滴る魔物の血液。
その結果にうんうんと満足したカナリアは後ろを振り返りブラッドに手を振る。
「ブラッドさ〜ん!勝ちましたぁ!」
「……ご苦労。お前達、これでカナリアの実力は分かったな?」
たった今、一方的に魔物を虐殺したとは思えない子供のように無邪気な笑みに、クワブキ、アマルダ両名は震えながらブラッドに頷いた。これ以上彼女を子ども扱いできるほど彼らはフェミニストではなかったようである。
なお、その戦闘以降、2人はカナリアの子分のように彼女の後ろを歩き、決して彼女の前に立とうとしなかった。その理由は恐らく、怒らせて魔物のようにミンチにされたくなかったからだろう。最初はその様子に戸惑っていたカナリアだったが、やがて慣れたのか普通に二人をこき使い始めた。
「クワブキさん、私のどが渇きました〜」
「水筒をどうぞ、カナリア殿」
「アマルダさん、携行砲についた返り血を拭いてくれませんか?」
「へへぇ、かしこまりました!」
どうもこき下ろし方が堂に入っている気がしたファーブルだったが、敢えて質問はしない事にした。
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