8話 「パワフル・レディ」
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思ってました)
その姿を見たファーブルは苦笑しながらも、思った以上に同僚の事を知らない自分を少々恥じた。
= =
両腕にズシリと感じる重みが、どこか心地よい。
カナリアオリジナルモデル、短距離複合携行砲「パンナ&コッタ」。二丁で一対の武器にして、自分がが最も好んで使用する武器。砲身は上部と下部にそれぞれ装着され、その二つを繋げるグリップにトリガーがある。両手で持つと、銃というよりは鉄製のナックルと言った方がしっくり来る。
砲身内部に彫り込まれたライフリングの溝には神秘数列が彫り込まれているが、整備をしている本人以外はそれを知ることもないだろう。――知った時には頭が吹き飛ばされているだろうから。
この世界には数銃と呼ばれる銃がある。数の名を冠する通り発射機構に神秘数列を用いているそれの技術もパンナ&コッタは組み込まれていた。されど、この携行砲をそのようなちゃちなものと侮る者がいたとすれば、それは大きな思い違いだ。
リメインズの決して明るいとは言い切れない視界の奥に、獣――エッジウルフの影が見える。
「来た。でもちょっと遠いかな……」
目算で距離を測りつつ、照準を合わせる。まだ距離が遠い。
もう少し引き付けなければ効果が望めない。銃の命は相対距離だ。最も効率が良いタイミングで撃ってこそ真価を発揮する銃器の中でも飛び抜けて使いづらい携行砲で敵を屠るには、銃なりの間合いが必要だ。
敵が見えたにもかかわらず動かない彼女を見咎めて、事情を知らないクワブキとアマルダが声をあげる。
「カナリア殿!敵が――」
「静かにしていろ」
「だがよぉ!お前さんは心配じゃねえのかよ!?」
「あいつの気が散る。無事でいて欲しいなら黙ってろ」
二人の抗議をブラッドが無表情で制す。彼が元来持つ迫力が、若干の苛立ちも混ざり威圧感として二人を圧し止めた。そのことにカナリアは感謝しつつ、目を凝らす。
(1匹……3匹……ううん、7匹かな?こっちを少し警戒してまだ仕掛けてこないなぁ……)
パンナ&コッタの神秘数列は既に発動し、携行砲の側面には「U」の運命数が輝いている。
「U」が意味するのは、内なる力の操作とエネルギーの収束。携行砲は周囲から取り込んだ神秘を約室で過剰圧縮し、その破裂を利用して火薬による衝撃をさらに増大させる。
その銃口から放たれる威力を、これから魔物はその身を以って知ることになる。
やがて、エッジウルフは相手が仕掛けていない事に焦れたように唸り声をあげ――そのリーダー格と思しき狼が遠吠えをした。
「ウオォォォォーーーーンッ!!」
「ヴルルルル……ガァァァァァーーーーーッ!!!」
遠吠えを合図にする
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