3話 静かに楽しく暮らしたい
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要なもの』だろうか。だがそんな些細な理由のために治安擾乱なぞされたのでは、マスターとしてたまったものではない。
「もたもたしてるな!逃げろ!逃げるんだよ!」
「‥どうしたんだよ…旦那、まるで何か悪い事をして逃げるようにさ」
「してるようじゃなくて悪いことなんだよ今やったことは!」
そう喚くウェイバーの剣幕に、ライダーは憮然となった。
「何言ってるんだ旦那。確かに今、オイラがやったことは盗人かもしれないだがそういうのは見つかって始めて''盗人''と言われるんだぜ。解るかい?旦那。」
ライダーの言いたい事はつまり''バレなければ大丈夫だ。''である。
まったく話の通じない相手に、ウェイバーは頭を掻きむしる。ともかく、あのビニール袋を持たせている限り、ライダーは霊体化する気がなく、深夜の街で堂々と闊歩する気でいるらしい。切羽詰まったウェイバーは、ライダーに駆け寄ると、その手の中からビニール袋とも引ったくった。
「これでいいだろ??さあ消えろ!いま消えろ!すぐ消えろ!」
「分かった、じゃあその袋は旦那に任せた落とすなよ、うん」
満足げに頷いて、ライダーは再び不可視になる。だがウェイバーも安堵している暇はなかった。店の警報は間違いなく、巡回中の警察に届いているだろう。警官が駆けつけてくるまでにどれほどの猶予があるか、もう知れたものではない。
「ああもう──どうして──こうなるんだよッ??」
今夜何度目のになるのか判らない嘆きの言葉を吐き捨てながら、ウェイバーは全力で駆けだした。
○○○○○○
雨生龍之介と吉良煌影は、今日で四度目の犯行を行っていた。
今回は住宅街のど真ん中、四人家族の民家に押し入った二人は、今まさに凶行の真っ最中で龍之介は恍惚に酔いしれていたのだが、流石に四度も同じことを繰り返していれば熱狂の度合いも冷めるのが道理で、頭の片隅では理性による警告の声が、ブツブツと耳障りに囁きはじめていた。
いい加減、今度ばかりは羽目を外しすぎたかもしれない。
これまで二人は全国を股に掛けて渡り歩きながら犯行を重ねてきた。
同じ土地で二回以上の殺しを重ねたことはないし、遺体の処理も周到に処理し、途中から吉良が簡単に済ませてきた。二人の犠牲者のうち大半は行方不明者として今も捜索されている有様だ。
だが今回の遺体を消さずに、連続して事件を起こしマスコミを刺激しまくっているのは、やはり考えるほどに愚行だったと思えてならない。様式に拘りすぎたせいで、普段の慎重さを完全に忘れていた。
特に今回はまずい。これまでの三回で、いつも生き血で魔法陣を描く段になって失敗して血が足りなくなったため、今度こそは完全な魔法陣を描けるようにと、少し多めに殺すことにしたのだが、や
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