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歪みすぎた聖杯戦争
3話 静かに楽しく暮らしたい
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だけの理由──すなわち、マスターとともに聖杯戦争に参加し、勝ち抜かねばならない理由がある。
即ち、彼らもまたマスター同様、聖杯を求める願望があるのだ。
願望機たる聖杯が受け入れる願いは、最後まで勝ち残った唯一人のマスターによるものとされるが、のみならず、そのマスターが従えたサーヴァントもまた、ともに願望機の恩恵に与る権限を得るのだという。つまり利害が一致する以上、サーヴァントはマスターと協調関係を保つのが当然なのだ。
さらに加えて切り札となるのは、マスターがその手に宿す令呪である。
三つの刻印ひとつずつ消費して行使させる、すなわち三度限りの絶対命令権。
これがマスターとサーヴァントの主従関係を決定的なものにしている。
令呪による命令は、たとえ自滅に至る理不尽な指示であろうとも、決してサーヴァントには逆らえない。これが『始まりの御三家』の一家門、マキリによってもたらされたサーヴァント召喚の要となる契約システムなのだ。裏を返せば三つの令呪を使いきったマスターは、即、サーヴァントによる謀反の危険にさらされるわけだが、そこはマスターが慎重に立ち振る舞う限り回避できるリスクである。
そう、この手に令呪の刻印がある限り──腹の内の苛立ちを抑えて、ウェイバーはうっとりと自分の右手に見入りつつほくそ笑んだ─どれほど恐ろしいサーヴァントであろうとも、
魔術師ウェイバー・ベルベットに逆らえる道理はないのである。あのサーヴァントが戻ってきたら、その辺の鉄則をひとつガツンと言い聞かせてやらねばなるまい……そんなことを考えていたウェイバーの背後で、突如、突き刺すような破壊音が轟いた。

「ひっ??」

驚きのあまり跳び上がって振り向くと、商店街のガラスがバリバリに割れている。
そこから悠々たる足取りで月明かりの中に現れたのは、他ならぬウェイバーのサーヴァント、
ライダーその人だった。初見が暗い森の中だっただけに、充分な明かりの中でその風体を仔細に見て取れたのは、思えばこれが最初だった。赤い雲の模様が入った黒い外套を身に纏っている格好で青い目に長い金髪の風貌の青年が、ビニール袋を片手に商店街の前に堂々と仁王立ちしている様子は、どこか滑稽なものすら感じさせる取り合わせだったが、けたたましく鳴り渡る警報装置のサイレンに浮き足立ったウェイバーには、面白がっている余裕などあろう筈もない。

「バカッ!バカバカバカッ!ガラス割りながら出てくるなんて何考えてんだオマエ!なんで入るときみたいに霊体化しないんだよッ??」

食ってかかるウェイバーに、だがライダーは妙に上機嫌な笑顔で、手にしたビニール袋を掲げて見せた。

「何故ってそりゃ霊体のままじゃコレを持って出れないからな、うん。」

ビニール袋の中には粘土が入っていた。
これがライダーがいっていた『必
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