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虹の服
3部分:第三章

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第三章

「こうなるってわかってたけれど」
「しかしそれでもじゃ」
「うん、行こう」
「虹の服の為じゃ」
 こう二人で言い合ってだった。
 虹をまた追う。だが結局傍に近付けずだ。その日は夜になった。
 夜。火を囲んで二人で話をした。そこでだった。
 長老はだ。強い顔でホッドに話した。
「今日は残念だったがじゃ」
「それでもだね」
「諦めるでないぞ」
 こう彼に言うのである。
「絶対にな」
「諦めない」
「そう、諦めたらそれで終わりだ」
 これが長老の言葉だった。
「ヴィーキングは絶対に諦めないからな」
「だから今も」
「行くぞ」
 またホッドに言ったのだった。
「それでいいな」
「うん、僕も諦めるつもりはないよ」
 ホッドもまたそれは同じだった。声が確かなものである。
「だって。約束したから」
「約束?」
「フラキに約束したんだ」
 その青い目から強い光を放っての言葉だった。
「絶対に。特別な服をプレゼントするってね」
「わかった。惚れた女の為だな」 
 長老は彼のその言葉も受けたのだった。
 そしてそのうえでだ。こう彼に言ったのである。
「それならだ」
「それなら?」
「意地でも手に入れろ」
 そうしろというのだった。
「絶対にだ。いいな」
「絶対に」
「惚れた女の為なら何でも意地をかけて貫き通せ」
 言葉がさらに強いものになっていた。そこには不屈の意志さえ見えていた。
「だからこそな」
「何が何でもなんだね」
「そうだ。何が何でもだ」 
 まさにそうだというのであった。
「わかったな、それで」
「うん、わかったよ」
 ホッドも確かな声で返す。
「じゃあね」
「そういうことだ。ヴィーキングは決して諦めずにだ」
「うん」
「惚れた女の為には貫き通す。よくわかっておけ」
「それがヴィーキングなんだね」
「そしてこの国の男だ」
 長老はこうも彼に話した。
「北のこの国のな」
「そうだね。それじゃあね」
「嵐が来ても吹雪が来ても行くぞ」
 長老はその決意も言ってみせた。
「それでいいな」
「わかったよ。それじゃあね」
 こうしてであった。彼等はまた虹を求めて先に進むのだった。
 数日後また虹を見つけた。しかしそれもだった。
 近付けばそれで遠くに去ってしまう。この虹もだった。
 だが彼等はまだ諦めない。また次の虹に向かう。

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