暁 〜小説投稿サイト〜
101番目の百物語 畏集いし百鬼夜行
第十話
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に身を乗り出して、

「あんたねぇ!ティアのこと探ろう、って言ったの忘れたんじゃないでしょうね!?」

 そう、周りには聞こえない程度の声で囁いて来る。これはこれでまた誤解されそうだけど……ま、いいか。

「いや、忘れたわけじゃないけどな……」
「信じられるわけないでしょ!」
「ですよねぇ……」

 本当に真っ赤な顔でそういうテンを見て、俺の口はそう動いていた。でも、仕方ない気がする。あの状況だったんだから、悪乗りしても、さ。

◆2010‐05‐12T09:30:00  “Hinokage City”

 時間は少し戻って、テンの家の車(?)で日影市を走っている時。
 俺はテンに、『ロアの世界』について説明をしてもらっていた。

「まあ、かくかくしかじかなのよ」
「まて、その言葉はなんでも伝わる便利ワードじゃないんだぞ」
「ツー」
「カー、ってツーカー錠も飲んでないんだよ!」
「よく分かったわね」

 テンはそう言うと、笑顔になった。まあつまり、俺を落ち着かせるためのやり取りだったのだろう。ありがたいものだ。がしかし、なぜ秘密道具。

「まあ、ティアにせよ亜沙先輩にせよ、話しのバリエーションが広いんだよ。……って、亜沙先輩のことは知らないんだっけか?」
「あんたが好きな先輩のことでしょ?」
「なんでそんなこと知ってんだよ!?」
「転入前に一通り調べたもの」

 いやなんで調べてんの、そんな超個人情報!というかどんなルート使えばわかっちゃうの!?

「それにしても、危険そうな趣味よねぇ……ああ、別に人の趣味をとやかく言うつもりはないわよ?でも、身近なところにああいう姉系の人がいると自然とそうなるのかしら?」
「……いや、姉さんにドキドキすることもあるから、そういうわけではないと思う」
「そうなんだ?てっきり未発達な感じの子限定なのかと」
「それはかなり危うい人だ!」

 ただのロリコンだよそいつは!俺はそんなんじゃねえ!

「……って、そう言えば……」

 こんな話をしていたからか、ふと思い出した。そういえば、昨日のあれの最後に出てきた女の子は胸大きかったなぁ、なんて言うことに。だからまあ、自然と視線はテンの胸元に向かって……

「……あぁ」
「って、あんた今何を納得したのかしら?」
「いえいえ、何でもないですよハイ」

 うん、間違いなく発言を間違えたら殺される。ここで『夢のやつとはサイズが違うんですね』とか言ったら、間違いなく殺される。そういう笑顔だ、あれは。

「……まあいいわ。次はないから」
「はい、ありがとうございます」

 どうやら、初回限定のお許しを頂けたようだ。

「じゃあ話を戻すけど、ある条件に当てはまる人を転入前に調べてたのよ」

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