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歪みすぎた聖杯戦争
2話 運命は狂いだす
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にあたり、現在、専任司祭という形で冬木教会に派遣されている璃正神父の手元には『霊器盤』と呼ばれる魔導器が預けられている。
これには聖杯が招いた英霊の属性を表示する機能がある。
マスターの身元は個々の申告によって確かめるしか他にないが、現界したサーヴァントの数とそのクラスについては、召喚がいずこの地で行われようと、必ず『霊器盤』によって監督役の把握するところとなるのだ。

「父によれば、現界しているサーヴァントはいまだ私のアサシン一体のみ。他の魔術師が行動を起こすのはまだ、先の事と思われます」

「うむ。だがそれも時間の問題だ。いずれこの屋敷の周囲には他のマスターの放った使い魔どもが右往左往するようになるだろう。ここと間桐邸、それにアインツベルンの別宅は、すでにマスターの根城として確定しているからな」

御三家に対する外来の魔術師のたちのアドバンテージは、その正体が秘匿されている点にある。
それゆえ聖杯戦争の前段階では、どの家門でも密偵を使った諜報戦に明け暮れることになる。
綺礼は時臣の情報網を信用していないわけではなかったが、残る二人の謎のマスターが、その上を行く手段で正体を隠蔽している可能性も警戒していた。そういう策略家の敵に対処するとなれば、綺礼が得たアサシンのサーヴァントの力を使おうとしたが、少々のイレギュラーなアサシンであるがそれでも十分に使えることには変わりない。

「この場はもういい。アサシン、引き続き外の警戒を。念には念を入れてな」

「御意」

綺礼の下知を受けて、アサシンはふたたび非実体化してその場から姿を消した。

「時に、綺礼少しばかり問題が起きてしまってね。」

そう、発言する遠坂時臣は苦い顔をしていた。綺礼には、その顔を見るなりまた何か楽観によるミスをしたのだなと、三年間による師事をしてきた綺礼にとって大体予想がつく表情だ。
 
「手配していた聖遺物…英雄王を招く触媒の所在が発見されてないのだ。」

遠坂時臣は前々から考えた戦略があったのだ。
まず綺礼のアサシンが奔走し、他のマスター全員の作戦や行動方針、サーヴァントの弱点などについて徹底的に調査する、そして各々の敵に対する必勝法を検証した後で、時臣のサーヴァントが各個撃破で潰して行く。
そのために時臣は、徹底して攻撃力に特化したサーヴァントを召喚する方針でいるつもりだったが、まさか土壇場にきてその呼ぶはずだった英雄王ギルガメッシュを呼ぶために必要な触媒が見つからなかった。
常に『余裕をもって優雅たれ』という遠坂の家訓を実践している時臣も、流石に溜息をつくほかなかった。

「導師が仰っていた計画もこれでは水の泡になりましたが、今後はどのような戦略でいきましょうか?」

綺礼が時臣の重大なミスに対してなんの文句もたれず、直ぐ
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