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101番目の舶ィ語
第十話。超えた限界。勇気の在り方……
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るキリカに向けて叫んだ。

『おお、音央ちゃんの元気な声が聞こえて安心したよ。それだけの情報があれば検索もしやすいだろうから、早速しておくよ』

「ああ。頼むよ、キリカ」

『ううん、いいって。私だけ家でのんびり寛いでいるのも悪いしね。じゃあまた後で』

キリカが電話を切り、俺はようやく一息吐いた。

「今のって役に立ったのかな?」

「うん。かなり検索しやすいってさ」

「そう……」

音央もようやく安心した一息吐いた。

時間が少し経って、音央が落ち着いた頃。
自治会館から離れた俺達は森に続く砂利道を歩きながらちょっとした世間話をしていた。
音央が聞きたがったのはもっぱら俺と一之江との出会いやキリカやリサとの関係だ。

「モンジ、あたし、なんとかしたい」

なんとか、したい。
この状況を、という事だろうか?

「ミーちゃん達はモンジが助けてくれたけど、他の人達もなんとかしてあげたい」

「……それはかなり難しいよ」

「うん。解ってる。
けどあたしだけ守られてるなんて、嫌っ!」

「俺だってなんとかしたいさ。だけど今は情報が足りない。
だから、キリカの情報を待とう。
俺達が先ずは無事に逃げる事が先決だ」

「ん……解った」

音央は俺の手をぎゅ、と握り返して……その手を離した。

「もういいのか?」

「恥ずかしいしねっ」

俺に引っ張られるのではなく、自分で走りたい、という事か。
この子は本当、気の強い子だね。
その気の強さを見ていると、俺も強くならないと、という気になる。
やっぱり、男は女性がいないと駄目なんだな。

「そういえば、キリカちゃんもなんか凄い子なの?」

「キリカはなんかどころじゃなく、もの凄い子だよ」

「一之江さんより?」

「一之江はそのもの凄い子をなんとか出来る子だったらしい」

「…………モンジは?」

「……その2人をなんとか出来た男だよ」

「なんで自慢っぽい言葉なのに苦い顔してるのよ」

いや……だって、な。
その、なんとかの仕方が(知らなかったとはいえ)プロポーズのようなものだったなんて、とても言えないからね。親しい間柄であるとはいえ、音央に言うのは恥ずかしい。
そんな俺の心境を察したのか、ジッと見つめていたが音央は深く追求してこなかった。

「はぁ……それにしても……」

「うん?」

「中学時代からの友人と転入生を連れて調査に来てみたら、まさかこんな『オカルトもの』を解決する人だったなんて、ね。ビックリしたわ」

「普通ないよな」

「モンジが一之江さんと組んでそんな事をしてるなんてね」

「俺らはまあ、こういうのを調査するのが、趣味みたいなものなんだよ」

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