与えられた禊名
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「か、華琳様……どうして……?」
「他の司馬八達の芽をつぶしてしまうじゃない。順調に才を伸ばしているあなたの姉も、最近あなたと比べられ始めて意気消沈してるのよ?」
「姉様は――」
「姉妹が多いのだから外から迎え入れる必要も無いわ。司馬の家は元々子供達皆がしっかりと働いてくれたらいいと私に言っていたし、朔夜個人の利が多いだけね」
自分が引き籠っていた事を引き合いにだされるとは思わず、朔夜は言葉に詰まった。
「ぅ……ぁ……で、でも月姉様をも補佐する家として確立されますし――――」
「あー、俺も賛成しかねるかな」
「し、秋兄様まで……」
秋斗にまで被せられて、しゅん、と落ち込む。
「誘ってくれてありがと、朔夜」
「ふぇ……詠さん……」
せめて、と詠が頭を撫でて落ち着かせ、抱きつかれる。詠も味方に付かない辺り、反対らしい。
「秋斗はどうするべきだと考えているのかしら?」
「俺が推したいのは……荀ケ殿んとこかな」
「桂花さんの所、ですか」
彼の発言を耳に入れ、即座に思考を回し出したのは雛里。
華琳は、ふむ……と顎に指を当てながらも笑みを深めた。
――司馬家に見劣りしない家柄なら、私の支援をしてくれている荀家を選ぶということ。最善案ね。
華琳も同じような結論に至っていた。
桂花の実家は都との繋がり深く……何よりも桂花の士官を決められるほど旧袁家とのコネがあった。文官達に名が利く土台が出来上がっているのはそれだけで得であろう。
「ボクが桂花のとこに……本人が嫌がりそうだけど?」
「あの子にとってもいい刺激になるわよ。詠は王佐の才を持ってる、とでも私が発破を掛けてあげれば余計に」
「お、王佐って――」
「あら? 足り得ないの? じゃあ他の家にしましょう」
「違う! か、華琳が其処まで評価してくれるなんて思わなかっただけよ!」
王佐の才とまで言われると思っていなかった詠は、照れているのか慌てて言い繕った。
「……心外だわ。前の軍を一人で回していたあなたを評価しない方がおかしいじゃない。そういえば、何処の誰とは言わないけれど……」
チラ、と秋斗の方を見てまた意地の悪い笑みを華琳が浮かべ、
「あなたの事をもっと前から評価してた者が居るのよ。その者が言うには、私の桂花に勝るとも劣らない政治屋なんですって。国の中枢には欠かせない存在で正道にして揺るぎなく、大陸でも三本の指に入るくらいの逸材だ、とかも言ってたかしら?」
そう言うと、詠の顔は真っ赤に染まる。
ジト目で秋斗を見据えても、彼はさっと目を逸らして知らぬ存ぜぬ。いつものように叩こうとしても朔夜に抱きつかれていて動けない。
少しだけ詠をチラ見した秋斗は、詠が恥ずかしがってる様子
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