暁 〜小説投稿サイト〜
流星のロックマン STARDUST BEGINS
憎悪との対峙
41 降りしきる涙の雨
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。それに衣食住は不自由なく、欲しいものは手に入る。でも...時々寂しくて不安になる」
「メリーさんがいるのに?」

「僕は一体何処で誰の子として生まれたのか...僕の命は何処から来たのか...親なんてものがいたのか?兄弟はいるのか?分からないっていうことが不安になって、街を歩いてる時に見かけた赤ん坊が母親に甘えているのを見ただけで、不思議と辛い気持ちが込み上げてきたりする」

「そう...」

彩斗は不自由のない生活を送りながらも、やはり孤独を抱えていた。
いくらメリーを家族同然に愛しても、自分を生んだ母親や家族が誰なのか分からずにどうしてここにいるのか分からず不安になる、人間なら普通のことだ。

「でもね、僕が努力して結果を出す程、どんどん周りの人たちは僕を煙たがった。施設のみんなも学校の人たちも。それでも味方してくれたのが、メリーと...ミヤだけだった」

そう呟いて彩斗は足を止めた。

「どうしたの?」
「...」

彩斗は左側の丘の階段を登り始めた。
アイリスもその後をすぐに付いて行く。
彩斗は無計画に歩いているつもりで自然とここに足が向いていたのだ。
そこは彩斗にとってはあらゆる思い出のある場所だった。

「ここは...公園?」
「あぁ。僕が初めて...人を殴った場所だ」
「え?」
「そして初めて人を傷つけることに恐怖心を持った場所でもある...そして...ミヤと学校をサボってよく来た場所」

彩斗は昔、ここでいじめられている少女に出会い、彼女を助けるために初めて人を殴った。
助けたい気持ちと怒りが半分半分だったが、殴った相手に大怪我を負わせた。
それ以来、自分1人のちょっとした暴力がどれだけの力を持っているかを思い知り、暴力を忌み嫌うようになってしまった。
彩斗は深呼吸を一度して大きなケヤキの木の下の方へ歩いて行く。
雨が降ってきたのだ。

「雨が降ってきたみたいだ。少し雨宿りしようか」

彩斗は木の下の椅子に座った。
そしてテーブルをはさみ、アイリスは反対側の椅子に座る。
木の枝や葉に防がれ、全く雨粒は落ちてこない。
まさに雨宿りするためにあるような場所だった。
彩斗は中折れ帽子をテーブルの上に置く。

「今、君が座っている椅子にミヤが座っていた。そして僕はここ。ここで彼女は僕の話を聞いてくれた。何気ない趣味の話や勉強のこと、楽しかった映画や面白かった本のこと。辛いことや今まで誰にも相談できなかった悩み、彼女は何でも真剣に聞いてくれたよ」
「...ここに...」
「実はここに君を連れてきてしまったのは、謝りたいことがあるからなんだ」
「謝りたいこと?」

アイリスは首を傾げた。
謝られ
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