憎悪との対峙
41 降りしきる涙の雨
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ている』ことを前提で会話してくる。だから分かるのは性格は見ての通りの皮肉屋、身長は約170センチ、誰から見ても美人でスタイルは良く、分析なんかに優れているところを見ると本職は学者か...少なくとも大学でその手のことを専門で学んでいる。恐らくMTの大型二種の他、専門的な資格を複数所持、そして何より途方もない財力がある。だがこの手のただの金持ちと違い、質が悪いことに頭が切れる」
「...」
「だが...表情に現れないのが面倒くさいけど、本当はすごく甘い。それくらいかな?」
「...」
「メリーを助けたい、それは僕が言い出したことで、ディーラーからすれば殆どディーラーに関する知識の無いメリーは切り捨ててもいい存在だったはずだ。でもハートレスはそれを止めるどころか、手助けをするように僕の計画に乗り、メリーを助けるのに必要な道具まで用意し、危険だと知りながら自らワクチンを届けに来た。恐らくメリーや僕らを助けようとする意識が少なからずあったんだ」
「やっぱりサイトくんもそう思う?」
「あぁ...正直、信じられないけど。理由はどうあれ、今日のところは奮発しておこう」
彩斗は内心はハートレスが本当はいい人間だと信じてみたかった。
人情味があり、母親のように時には厳しく、時には優しく自分たちを優しく包み込んで見守ってくれる存在だと。
彩斗はため息をつきながら並んでいる弁当の中では一番高い、牛豚づくし弁当をカゴに入れた。
「実はね、今まで何回かハートレスが少しだけど優しい面を見せたことがあったんだ」
「そうなの」
「僕にパソコンを買い与え、教えてくれたのがハートレスだった。それだけじゃない、それに他の子と喧嘩して部屋に閉じこもっていた僕にこれをくれたのも...」
彩斗はそう言って板チョコをカゴに入れる。
しかし1枚だけではない。
彩斗は店に置かれていた棚のチョコレートを全てカゴに入れようとしていた。
「入れ過ぎよ、サイトくん...さっきの様子から甘党だとは思っていたけど、これじゃ糖尿病になるわ」
「...ゴメン」
アイリスはカゴに入ったチョコレートを5枚程残して、全て棚に戻す。
そして更に弁当コーナーから「フレッシュ野菜サラダ」というシールの貼られた商品をカゴに入れた。
「私こそ、ごめんなさい...でも今はちゃんとバランスの良い食事をして欲しくて。お節介だよね、私」
「いや...ありがとう」
「...ねぇ、お薬とか買ってもいい?」
「薬?」
「実はさっきサイトくんを治療するのに、怪我した時に使うようなものはほとんど使ってしまって...」
「...そうだね。これ以上、何かあるとは思いたくないけど...好きなものカゴに入れていいよ!」
「でも...お金は?」
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