憎悪との対峙
41 降りしきる涙の雨
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かもしれないけど」
「そうね...」
「...じゃあ、そろそろ本題に入ろうか?」
「え?」
雨が更に強くなった。
彩斗は少し表情を変え、アイリスが気になって仕方ない話題に切り替えた。
アイリスは彩斗のことを知るだけが目的ではなく、戦闘時のおかしな点について聞こうとしていた。
彩斗はそれを今の会話のアイリスの不自然な部分で確信した。
「1つ、今の会話でおかしいことがあったよ。僕はダンスとは言ったけど、「ブレイクダンス」とは言わなかった。でも君は「ウィンドル」、ブレイクダンスの技の名前を言ったよね?どうして君は僕の言うダンスをブレイクダンスだと思ったんだろう?」
「...」
「やっぱりハートレスが僕のトランサーに録画用のアプリか何か仕込んでいたみたいだね」
「!?どうして...」
「図星か。別に怒ってないよ。ハートレスのことだ、スターダストの戦闘能力、そして僕自身とValkyrieの能力がどの程度のものか見極めたかったんだろう。少しトランサーの動作が遅かったから、もしやとは思っていたけどね」
彩斗は笑みを浮かべながら、全て曝け出してすっきりしたような顔でアイリスの質問に備えた。
しかし彩斗は余裕であるような顔をしているが、あまり余裕ではなかった。
今回の戦闘での自分の身体の異変や心理的な異常が自分でもあまりにも飲み込めていなかったのだ。
アイリスは本当なら無理に答えさせたくはないが、彩斗の身体のことが不安で唇を噛みながら質問を始めた。
「...サイトくん...どうして避けなかったの?サイトくんの体中の傷、どう考えても防ごうとして防ぎきれなかったダメージじゃないわ」
「...」
「もっと自分を大切にして!まさか、死ぬつもりで戦ってるわけじゃないよね?」
「...そうかもしれない」
「!?ミヤさんの怪我はあなたのせいじゃないわ!」
「そうじゃないよ。ミヤが襲われた後、僕は復讐心に駆られて人殺しに走った。取り返しのつかないことだ。別に後悔してるわけじゃない。あいつらは死んで当然だと思っているのは変わらない。でも逆戻り出来なくなってしまったのもまた事実だ」
「...そんなこと」
「僕は死に急ぐつもりはない。でもそんなことを考えているせいかな?後戻り出来ない、進むしか無い。ダメージを受けても止まっていられない。気づいたら身体がダメージを受けようと、全く痛みを感じなかった。そして殴られそうになっているのに、自然と防御せずに攻撃をするようになっていたんだ」
「...」
「不思議だよね...自分の命なのに、僕も別に望んで死にたいわけでもないのに...まるでそう望んでいるみたいに身体も思考も動いてる」
やはりアイリスの思ったとおりだった
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