Interview13 アイリス・インフェルノ
「できるわけないわ」
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ャール周辺であればルドガーもぼんやりと地理を把握できた。
GHSを出してフリップを開く。偏差反応が強いのはガンダラ要塞の方向だ。どうやら今回の時歪の因子はあの要塞にあるらしい。
「みんな、いるな?」
エル、レイア、ジュード、アルヴィン、エリーゼ、ローエン、ミュゼ――顔ぶれから欠けた人物がいないことを確認する。
同時に、大所帯なので目立つだろう、とルドガーはげんなりした気分になった。
ひとまず一行はガンダラ要塞に向けて進路を取った。
要塞をぐるりと囲んだ柵に添って要塞側面に回り込む。哨戒の兵士に見つかって無駄に消耗したくなかった。
断崖が陰を作る位置まで回り込んだところで、ローエンがルドガーたちにストップをかけた。
「皆さん、あちらを」
ローエンが指さしたのは、3人の男。積み上げた荷箱の一番上に立つのはジュード、下でジュードに何事かを伝えているのはローエンとアルヴィンだ。
もちろん3人ともルドガーたちの側にいる。つまりあの3人は、分史世界での「ジュード」と「アルヴィン」と「ローエン」なのだろう。
その内、「ジュード」が壁の排気口の金網をどけ、中に潜り込んだ。間を置いて「アルヴィン」と「ローエン」も荷箱を登り、「ジュード」に続いて排気口の中に入った。
「どうやら去年我々がガンダラ要塞に侵入した時のようですね」
「1年前の時間軸の分史世界か。てことは、中には『エリーゼ』と『ミラ』がいるわけだ」
ミラの名が出た途端、ジュードが顔色を蒼白にした。
(ジュード、まだ引きずってるのか。初任務で行った世界の『ミラ』のこと)
年端もいかぬ少女だったマクスウェルが、分史世界のジュードと彼の父親を殺した場面を目撃してしまったこと。それがジュードの心に濃い影を落としている。ルドガーにも分かっている。
ルドガーはGHSを出して、分史世界内における偏差反応を示す画面を見た。
「――追いかけよう。この要塞の中、偏差が他より強い。時歪の因子があるとしたらこの中だ」
ここからでは遠目で視えなかったが、もしかするとあの3人の中の誰かという可能性も考えられたものの、そこまではあえて言わないルドガーだった。
全員が動き出す中、ミュゼがジュードに声をかけた。
「ジュード」
「分かってる。落ち込んでる暇があったら、源霊匣を完成させる努力をするよ」
「――ガイアスだったらきっと『それでいい』って言うんでしょうね」
たったそれだけの会話。慰めも励ましもない。それだけだが、ジュードをガンダラ要塞に向かわせるだけの効果はあったらしい。
要塞内の事情に明るくないルドガーは殿に付こ
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