第六話 『逃走』
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「せあぁ!!」
その声とほぼ同時に、男の顔は普通は向かないような方向へ向いていた。
「優衣架……」
「まったく、一人で戦ってないでこっちにも頼りなさいよ」
優衣架は腰にてをあてながら、まるで説教するかのようにそう言ってくるが、右足が血だらけなので俺も殺されるのかと言う錯覚に襲われる。
「ほら、とっととかたずけちゃいましょ」
「ああ。わかったよ」
取り合えず返事を返すとゾンビもどきたちへ向き直った。
「俺も空手でいく。合わせろ」
「わかったわ」
対の動きは初めてだが、やるしかない。優衣架も覚悟を決めたようだ。相手の数は5人、全力で潰す!!!
「いくぞ」
そこから先はあまりよく覚えていないのだが、二人の動きは、ぶっつけにしては機能していた。ただ、ずっと戦闘続きだったせいか疲労困憊、食われずに死ぬかもな……
「陵太、空いたか?」
疲れ見え見えの声でそういうと、
「ああ、何とかな。ピッキングが難しい鍵だったから時間がかかったけど、ほらこのとうり」
まるでジェントルマンのような手つきでドアをあけて、渾身のどや顔をかます。心配すんな。あとで殴ってやるよ。
「それにしても、なんで鍵なんてかかってたんだ?」
「さあな。考えるより動こうぜ」
「ああ。……そうだな」
そう言うと、陵太を先頭にドアをくぐるって外へ出る。
最後に優衣架が外に出ようとするのを少し引き留めて、
「優衣架、さっきは助かった。ありがとな」
「気にしない気にしない。一度人間をおもいっきり蹴ってみたかったし」
うわあ……流石は俺の友人。ヤバイやつの回りにはヤバイやつが集まるんだな〜。苦笑いが込み上げてくるが、その苦笑いを普通の笑いに転換すると、
「ほら、行こうぜ」
そう言って優衣架のあとに続いて、ドアをくぐった。
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