暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
災禍の鎧
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
オドラは何も言えなくなってしまう。

テオドラが黙ったのを見て、ヒースクリフが相変わらずの無機質さを漂わすテノールで言う。

「ヴォルティス卿。暴れまわっているということは、すでに犠牲者が……?」

その問いには答えず、代わりにヴォルティスは、背後にいた副長と思われる男に頷きかけた。

確かヴィルヘイムとか言った、ツンツン頭の男は手元の紙に視線を落としながら言った。

「今現在、確認されているのは約二十人ッス。初めに襲われたのは、中層ゾーンの小さなギルド。リーダーが紙一重で脱出してきたおかげで、やっと情報が入ったッスよー」

軽い男の言葉の後半を聞き流し、レンはいつにない鋭い目を浮かべた。

「…………現在地点は?」

「だめッス。奴さん、次々階層移動してっから、全然掴めないッス」

ここにきて、今まで黙りこくっていたユウキが口を開く。

「……その人の……もとは………?」

これにはシゲクニが、傍らに立っている副長のツバキに目配せする。

長い黒髪を後ろで縛ったツバキは、ヴィルヘイムと違い、何も見ずに淡々と言った。

「もともとは中層プレイヤーのようです。名前はルーク、性別は男、友人の話によると、まだ年端もいかない子供だったそうです」

一瞬の沈黙。

テオドラが沈黙を破った。

「………対処はどうするつもりだ?」

「できればコリドーで牢獄に入れたいのだがな、アレを止めることは難しい。……いや、難しすぎる。我ら全員で戦っても勝てるかどうか………」

「じゃあ………」

「ああ、最終的には、殺さざるを得まい……」

苦渋を舐めるようなヴォルティスの筋肉の塊のような顔を見て、誰もが何も言えなくなってしまう。

再びの静寂。

時計の秒針が一回りするくらいして、やっとユウキが口を開いた。

「……どっちにしても、行動パターンと現在位置が掴めないとどーしようもないよね」

口々に賛同の声が上がる。

だが、その中で一人だけ賛同の意を上げなかった者がいた。

レンだった。

血色のコートに身を包んだ少年は、やっといつものように笑って

「一人だけ、見つけられるヒトを知ってるんだけど……」

言った。










アインクラッド第二十七層は、常闇の国だ。

外周の開口部は極端に少なく、昼間でも差し込む陽光はないに等しい。

内部はごつごつした岩山がいくつも上層の底まで伸び、そのそこかしこから生まれた巨大な水晶の六角柱がぼんやりとした青い光を放っている。

そんな二十七層の中にある深い谷底に、貼り付くような形の小さな街。

それが二十七層主街区の【ロンバール】だ。

岩の塊から掘り出したようなその街は、細
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ