番外21話『かみなりに打たれて』
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眼前に掲げられた掌。
それが激しい衝撃を生む寸前に腕で弾いて効果が発揮する方向を体からそらす。
「ほっ!?」
驚きの声を漏らした丸い体型の男には目もおかず、ハントは次の行動へと既に映っていた。
人間にとっての死角、頭上から突き出された槍の一撃。ハントの脳天を貫かんばかりに繰り出された刺突を、左足を軸にして体を半回転させるという最小限の動きでそれを回避。
「生意気なっ!」
ゴーグルの男の睨み付けるような目は無視。
次いでハントの目からしても唸るほどの凄まじい速度で繰り出された掌打を、武装色で固めた右腕で真っ向から受け止めてみせる。
「んんんんっ!」
なぜか歯を食いしばって声をもらす腕組の男の声も、やはりハントは気にしない。
真後ろから繰り出された鉄の鞭のような攻撃を、ジャンプ一番でその場から距離をとることで回避した。
「……ほう」
サングラスの男の感心したような声をBGMに、着地した地点でなぜか突然現れた人間よりも大きい二足歩行の犬によるアッパーを、これには少し慌てながらもハントは冷静に左手でブロックし、懐にもぐりこんで犬の腰を掴み、4人の男たちへとその犬を投げつけた。
地面を滑り、男たちの隙間へと落とされたその犬に、サングラスの男は「立つんだ、ホーリー」と指示を下してその犬をたたせる。
「さ、さすがに二足歩行の犬っていうのは初めて見たな……サイズ的にもだけど」
「こいつの名はホーリー。俺はスカイブリーダーでな、完全なる二足歩行に次いでは拳闘までも叩き込んだわ」
「なんか……こう、才能の無駄遣いじゃないか?」
ホーリーを見つめながら、1対4……犬を含めれば1対5という状況とは思えないほどにハントはやはり呑気に呟く。どこか余裕の感じられるハントとは対照的に、4人の男たちの表情には決して明るい色は感じられない。
既に彼らが拳を交えて何度ぶつかったか。
そのどれもを、ハントは一切のダメージなくやりすごし、さらに時間が経つにつれて反撃も織り交ぜるようになってきている。隠し玉として坊主頭の男が伏せていた最後のカードのホーリーによる攻撃も結果的になんなくやり過ごされてしまっては色を失うのも当然といえば当然か。それでも4人の男たちの表情にどこか余裕が感じられるのはハントが主に回避行動や防御行動ばかりをとっているからだろう。
1対5というこの状況。普通に考えればハントが圧倒的に不利で、体に傷を負っていたり息を切らしているのはハントであるべきだが、現状はまったくその逆。彼らには対処できないほどの身体能力をもったハントに、彼らはダメ―ジを与えられないでいる。
いや、ハントと彼らの差が本当に身体能力差だけならば、これほどにハントに余裕がみられるという
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