番外21話『かみなりに打たれて』
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状況に至っていはいないだろう。1対5という状況はそれほどに有利なはずなのだ。それなのに彼ら4人と1匹の攻撃がハントに通じない理由は身体能力差以上に――
「しかし、よく避ける」
「――マントラが効かない奴がいるなんて予想外だ」
「効かないどころかこちらが読まれている節すらある」
「何が起こっている」
順にサングラスの男、丸い男、ゴーグルの男、腕組の男。
この会話の通り、4人の男たちのマントラ――ハント風にいうならば見聞色の覇気――による先読みがハントには全く通じないことが彼らにとってかつてないほどのプレッシャーを与えていた。
「……つまり、奴のマントラの力が俺たちを凌駕している……そういうことだろう」
冷静に、だがどこか怨嗟を含んだ声で吐き出された坊主頭の声に、誰よりも先に反応したのは彼らの内の誰かではなく、ハント。
「じゃあそろそろ諦めてくれたりとかない?」
ナミとのデートを邪魔されて少々不機嫌になっていた彼とは思えないほどに穏便な言葉だが、戦っている内に冷静になったらしい。ハントにとってこの4人の力が驚異的なものだったならばきっとハントはこんなに穏やかな状態ではいられなかっただろうが、目の前の彼らを脅威というには彼らの力はあまりにも不足していた。決して弱いとは言わないが一流ともいえない程度の身体能力、中途半端な見聞色の力。それに加えて逆に見事と揶揄したくなるほどの連携の悪さ。
元々ナミとのデートが中途半端な形で終わったことと喧嘩を吹っかけられたからという二つの理由で戦いを始めた彼だが、喧嘩っぱやいわけでもなく喧嘩が好きでもないハントが戦闘を行うにしては少し動機として薄かったことも大きな要因だろう。
彼らに対する興味もなければ、それほどまでにブッ飛ばさなければならない理由もない、おまけに戦闘で明らかに自分よりも弱いとまでくれば、ハントに言わせれば、はっきり言って無駄な時間以外の何ものでもなくなってしまっていた。
「ほほぅ! ずっと逃げ回っているだけの癖にまるで俺たちに勝てるとでもいいたげな言葉だな」
「バカが、すぐにでもその思い上がりを正してやる」
「んーんんっ!」
「……」
今までハントがほとんど回避が防御ばかりをしていたせいか、まだまだハントは彼らの手の内にあるとでもいいたそうな彼らにハントは呆れたようにため息をついて、また彼らと対峙する。ただし、ハントの目の色は一瞬前までとはまた違っていた。
「いいけど、もう大体把握したし……お前らも覚悟しろよ?」
ハントがため息とともに、彼らへと視線を送る。
そもそもハントが受け身の行動をとっていた最大の原因は一度見た光の一撃を警戒してのこと。まるで自然系の人間が放った技か、そうでなければ大きな兵器によるもののよ
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