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101番目の舶ィ語
第九話。改変された物語
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穏やかな顔をしたミーちゃんがいた。
瞳以外は普通の人間と変わらない血の通った人間の少女だ。

「えっ??」

モーイ(凄いです)!ご主人様、ヘルモーイ(とっても凄い)です!」

「確かに凄いけど……どうやったの??」

ミーちゃんの変わりように呆然とする詞乃ちゃんと、興奮気味にモーイ! を連発するリサ。
2人の間にはかなりの温度差があるようだ。

「人間に不可能な事なんてないからな(Nothing is impossible)!」

前世でお世話になっていた平賀さんの台詞を言いつつ、ミーちゃんの横に寝そべっているタッくんに近づきミーちゃん同様、その存在を改変していく。
改変中、詞乃ちゃんか俺に向けて出刃包丁で切りかかろうとしてきたが全て一之江が防いでくれた。
______数分後。
俺の前には意識と自我を取り戻した子供達の姿があった。

「モンジ、ありがとう!」

「モンジ、ありがとうな」

「こら! 2人共。モンジお兄さんだろ!」

「ご主人様の今のお名前は疾風では?」

「はっ?? しまった……」

「「あはははっ!」」

リサの鋭い突っ込みで場を和やかにさせつつ、俺は脱出のタイミングを図る。
詞乃ちゃんは相変わらず出刃包丁を手に持ち俺や一之江を切りつけようとしていた。
彼女の動きを見ていて解ったが、彼女は直接的な戦闘タイプではない。
その動きがあまりに雑過ぎる。
素人が包丁を振り回すのと変わらない。
総合的な戦闘力では一之江や俺の方があきらかに上だ。

「モンジ。彼女とその子達を連れてさっさと逃げなさい。
足手纏いです」

「ご、ご主人様……」

「ん、ここは一之江に任せよう。俺達は一目散に逃げるぞ」

「は、はい……」

リサに頷きかけると、俺は詞乃ちゃんをまっすぐに見た。
『村系』と恐れられるロア。ブラドのように無限回復力を持つロア。
おそらく俺の予想以上に強いのだろう。
それでもハーフロアの能力に目覚めた、今の俺なら彼女に対抗出来るだろう。
リサや音央が近くにいなければ。
残念ながら無限回復力を持つ詞乃ちゃんを相手にするのならば彼女達の存在は足手纏いにしかならない。
ならば、一之江の指示に従って2人を逃すべきだ。

「逃げられるかな? まだ村人はいっぱいいるよ?」

「逃げられるさ。おっかないロアから逃げ切った実績があるからね!」

俺がリサの手を引いて走り出すと、詞乃ちゃんは出刃包丁を俺に向けて突き出してきた。
しかし、その包丁を持った手首を、一之江が下から掬い上げるようにナイフで切った。
スパァと、鮮血が迸り、詞乃ちゃんが手にしていた出刃包丁が落ちた。

「今です!」

「おうよ!」

「へえ……ま
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