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101番目の舶ィ語
第九話。改変された物語
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あの子達は俺と音央に『食べられないでね』と忠告してくれた。
それにさっき詞乃ちゃんか言っていたが心を取り戻させた、という言葉が引っかかて仕方ない。
本来ならタッくんやミーちゃんも、そういう人間らしい心を持たない存在だという事なんだろう。
だとしたら、あの自然な振る舞いも、楽しそうな笑顔も、みんな詞乃ちゃんに作られたもの、という事になるのだろうか?
______警戒していた俺達を分断させるには、確かに子供達を使うあの手法は上手いやり方だったと思う。
安心させて、子供に殺させる。
普段の俺だったらかなり危なかっただろう。
だが、それだけではなくて。もし、詞乃ちゃんの計画を狂わせる突発的な出来事が起きているのだとしたら?
そして、あの小さな子供達の心を取り戻させる事が出来るとしたら、それは『不可能を可能にする男』と呼ばれている俺がすべき事なのだろうか……。
もし、俺が詞乃ちゃんを倒す事で子供達が解放されるのだとしたら……。

「……ご主人様……」

俺の背後で弱々しく俺の名前を呼ぶリサ。
リサの声で我に返った俺はリサの顔を覗き込む。
ウルウルとした涙目で弱々しく俺を見つめてくる。
そのリサの顔を見ていると改めて俺が守るべきものがなんなのかを認識出来る。
______そうだ。俺の役目はここで詞乃ちゃんと殺しあう事ではない。
そして、非常に心苦しいが子供達を救う事でもない。
リサのようなか弱いものを助けてここから無事に連れ帰る事が今の俺に求められている役目だ。
子供達はすでに死んでいる。
死んでいる奴らを生き返らすなんて事は『不可能』だ。
死者の蘇生なんて現実的じゃねえ。
一度死んだ人間を生き返らせる事なんて不可能だ。
そんな事はわかってる。
……だけど。



「……ご主人様?」

「悪い、リサ。
ちょっとだけ待っててくれないか。
試してみたい事があるんだ」

俺はリサから視線を逸らして一之江と刃物で切りあっている詞乃ちゃんに向かって駆け出した。

「……っ……モンジ??」

「ん? 何、 お兄さんはそんなに早く死にたいのかな?」

「いいや。違うよ、っと……」

詞乃ちゃんが突き出してきた包丁を避けて俺は彼女の背後に向かう。
その方向にあるのは……。

「……そんなにタッくんとミーちゃんが大切なの?」

その先にいるのは、血まみれになって倒れている小さな子供達だ。
俺は2人の子供のすぐ側まで近寄り、その状態を確認する。

「お兄さん、もしかして……死体フェチ?
そんな人には見えないんだけどなー。
ま、いらないからあげるよ。
もう、ろくに動けないゴミみたいなものだからね。
役に立たないゴミを動かすなんて非効率だし」

「…………い!」

「ん?
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