≪アインクラッド篇≫
第三十三層 ゼンマイを孕んだ魔女
アスナの憂鬱 その壱
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が、今回受注するクエストの難易度は相当高い。ヒースクリフからそちらのメンバーの名前を確認させて貰ったが、無名とは決して言わないけれども、みんなスタンドプレー向きではなかった。今回に限るが俺はソロプレイヤーの方が良いと思う」
「そうは言いますが、難易度が高いならソロプレイヤーよりもギルドメンバーのほうが協調性もカバー力も信頼性も上です。個々の技術力だけで選抜すると必ず失敗する筈です」
「俺なら、できる」
それはアスナにとって予想外の反応であった。アスナの中でスバル像に≪自信家≫の項目を加えなくてはいけないのかもしれない。自信家は言葉を続けた。
「元々攻略組における現在の俺の役割はソロプレイヤーの≪統括≫と≪教育≫だ。ソロという協調性のないスタイルを行っている彼らをレイド戦に参戦できるように昇華するのには慣れたものでね」
「タイムリミットが、ありますよね?」
「……そうだな。彼女のクエスト有効期間は明日の夜までだ」
「それでも可能な範囲ですか?」
「……こちらで用意したメンバーなら、不可能ではない……だろう」
だんだんと曖昧になるスバルの証言に、アスナは疑問を持った。スバルとて曖昧な主張を好んで武器にすることは無い筈だ。不利を承知で議論に入る人物だとは思えなかったのだが。
この時、アスナには分からなかったが、スバルが懸念していたのは≪ソロとギルドの割合≫がギルドに傾くことであった。スバルはあくまで≪ソロ側≫に属するプレイヤーなので何かしらの前例を作りたくなかったのだ。スバルとて今回のパーティーメンバーの割合だけでスバルの立ち位置が変わるとは微塵も思っていない。だがしかし現在のアインクラッドでの≪ソロ≫というものはスバルの尽力もあり、多くのプレイヤーの転身先の有力な選択肢に入っている。スバルはそのバランスを崩したくはない。だから念には念を入れているのだった。
アスナは返答せずに沈黙したが、現在議論の場を制しているのはアスナだった。アスナは考える必要もなくただ一言、話にならない、とでも言えばそれで終わりだったのだが、優秀なアスナは深読みをしてしまい即断することに抵抗を感じた。感じながらも言葉を続けようと口がつい動く。
「それは―――
コトン、と団長はコップを置いた。その音はやけに主張をし、露骨だったため、アスナは言葉を止めてしまった。その一瞬の隙に、団長が落ち着いた口調で一言だけ言う。
「決闘をすればいい」
アスナは聞き返した。何故ですか? と自然に反射のように。
「仮にスバルくんが勝てば、実力がアスナくんより上ということになる。血盟騎士団のナンバー2であるアスナくんが敗北すれば、即ち、それ以下のメンバーが今回のクエストに不適任だという理論が立証される。逆
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