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義勇兵
10部分:第十章
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しかしであった。
「それでもそう感じるとは。不思議なものですね」
「そうですね。縁があるとすれば」
「不思議です」
 河原崎は首を元に戻した。そのうえで通訳とまた話すのだった。
 そしてスコットと劉もだ。振り向いたままの姿勢で話していた。
「あの日本人、ですね」
「そうですね。あれは日本語ですね」
 河原崎が話しているその言葉から察したのだった。
「日本とも国交を樹立されたのですね」
「はい、そうです」
「しかし不思議ですね」
「貴方もそう思われるのですね」
「はい」
 スコットはこう劉に話す。
「その通りです」
「会った筈がないというのに」
 二人はいぶかしむ顔で話す。
「それがどうして」
「何処かで会った様に思えるのでしょう」
「不思議ですね」
「全くです」
 二人はこう話すのだった。
「こんなこともあるのですか」
「おかしなことです」
 そうしてであった。二人でいぶかしむのであった。
 二人にもわからなかった。しかしだ。
 ここでだ。劉が言ってきた。
「さて、それで」
「はい、食べにですね」
「行きましょう。あの日本人のことはとりあえず置いておいて」
「そうですね。ただ」
「そうですね」
 劉はスコットのその言葉に頷いた。
「また何処かで会うかも知れませんね」
「そうですね、何処かで」
 二人はこう話すのだった。そしてだ。
 二人は食事に向かった。河原崎は通訳と共に街を観に向かった。もう戦いはなく三人は会ったことがない。しかし何故か互いに縁を感じていたのだった。それがどうしてかは三人にはわからないことだった。過去のことにも気付かないまま。


義勇兵   完


               2010・6・10

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