【魔界】での戦い U
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からこそ、全力で戦う事が出来る。カンピオーネという災厄と敵対したというのに、彼女の心は晴れやかだった。
「―――さあ、どこからでもかかってくるがいい!」
ザン!
「何・・・!?」
リリアナのその言葉と重なるようにして、一つの影がヴォバン侯爵の従僕を襲った。リリアナすらも反応出来ないほどの速度で振るわれた剣は、大騎士の従僕を三人まとめて切り払った。鎧ごと両断されており、その切り口は、まるで熱したナイフで切られたバターのように溶かされている。
「あらリリー。楽しそうなことをしているわね。私も混ぜてもらってもいいかしら?」
瞬く間に三人もの従僕を切り捨てたのは、エリカ・ブランデッリであった。彼女は、周囲を取り囲む従僕の姿など目に映らないかのように無視し、リリアナだけを見ていた。
「ふん。ダメだと言っても勝手に暴れるんだろう。しかし、派手な衣装だな。」
元々エリカは派手好きだが、今の彼女の衣装はそれに輪をかけて派手だ。彼女が身にまとっているのは、真紅のドレスである。まるでドレスそのものが光を放っているかのように、月と星明かりしかない暗闇でも輝いていた。淡い赤色が、夜闇にエリカの姿を映し出す。
「ふふ。これは護堂との愛の証ですもの。似合っているでしょう?」
そう。まるで光っているかのように、ではなく、本当に輝いているのだ。これは、護堂の権能【炎の王国】による眷属化で生み出された衣装。権能により生み出された、神器とも呼べる代物であった。
「ところでリリー。一応聞いておくけど、ヴォバン侯爵と敵対したって事でいいのよね?」
エリカとリリアナを取り囲む従僕たちだが、彼女たち・・・特に、エリカに攻撃する隙を見いだせず、動けずにいた。護堂の眷属として生まれ変わったエリカは、神獣とも言える存在である。従僕たちも、権能で生まれ変わったという点で言えばエリカと同じだが、その格が圧倒的に劣っていた。ヴォバン侯爵の【死せる従僕の檻】は、多数を強制的に使役するという方向に能力を振り切っているので、限られた人数を超強化する【炎の王国】との相性は最悪だったのだ。
だからこそ、エリカは何の気負いもなくリリアナと会話が出来る。
「その通りだ。これ以上、何の罪もない一般市民に迷惑をかけることは出来ない。騎士として、彼らの行いを止めようとしていた。」
リリアナも、現在のエリカとの力量差を肌で感じていたが、それでも自分はエリカのライバルであるという自負から、動揺した姿を見せずに返答した。今は話されていても、いずれ追いつくという決意が彼女にはあったのだ。
「そうよね。今の状況で貴方が侯爵側につく意味がないもの。・・・ついでに尋ねるけど、ひかりちゃんも知らないわよね?」
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